庭じまいの手帖
はじめての庭じまい

庭木の毛虫の消毒|国の資料は剪定を先に置いている

庭木に毛虫が出たときの消毒は、国の通知と環境省のマニュアルが順序を逆に書いています。定期散布をやめる・観察する・被害部位を剪定する。チャドクガについて自治体が書いていることを自治体名とセットで並べ、どこで確かめるかを示しました。

公開
内容を確認した日
読了目安
約10分
低木に囲まれた庭の通路
参考写真 説明用の素材写真。実際の利用者・商品・施工実績を示す写真ではありません。 写真:Haydon

庭木に毛虫がついたら「消毒しないと」と考えがちです。国の資料は、その順序を逆に書いています。

国の通知が置いている順序(別紙の1(2)・原文の語のまま)

  1. 「病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ」
  2. 「日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し」
  3. 「被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努める」

農薬が出てくるのは次の(3)で、条件は「病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合」です。

(出典:農林水産省消費・安全局/環境省水・大気環境局「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号・環水大土発第1304261号)」/確認日 2026-09-29)

このページで書けないこと

  • 金額は載せていません。 費用や相場を示した一次資料が見つからなかったためです
  • 薬剤名・製品名・希釈倍数も載せていません。 使う場合は、その製品の容器の表示で確かめてください
  • 虫の見分けは、下に並べた自治体のページで確かめてください。 「この毛虫はチャドクガです」と断定する説明は置いていません
  • 薬や処置の効果効能は、出典を示した引用の形でだけ載せています。 自治体や国の原文をそのまま引き、言い換えていません
  • 剪定枝を燃やすことは勧めません(廃棄物処理法16条の2は焼却を原則禁止しています)

その通知は、誰に向けたものか

ここは混同されやすいので、はっきり分けます。

3つの足場を分けて読む

① 平成25年の国の通知(25消安第175号・環水大土発第1304261号)

都道府県知事宛て。遵守事項は末尾の『別紙』にあり、『1 公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項』と『2 住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項』の二本立てです。上に引いた順序は1(公園・街路樹等)側の文言です。

通知本文に「個人の住宅の庭」という語は出てきません(前文に「庭園」が2回出ますが、これは「庭園、緑地等を有する土地・施設等の管理者」の話です)。

② 両省連名のリーフレット

対象範囲の定義に「住宅地とこれに近接する土地」が入っています。

学校、保育所、病院、公園等の公共施設、街路樹、住宅地とこれに近接する土地、住宅地に近接する森林等(以下「公園等」と称します)、及び住宅地に隣接した家庭菜園・市民農園を含む農地の管理にあたっては、公園マニュアルを参考にして…農薬を使用しない管理を心がけましょう。

③ 省令(農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令)第6条

農薬使用者は、住宅、学校、保育所、病院、公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない

条文に「住宅」が明記されていますが、書き方は「努めなければならない」です。

(出典:農林水産省 農薬対策室/環境省 農薬環境管理室「住宅地等における農薬の飛散防止(農林水産省・環境省リーフレット)」/確認日 2026-09-29) (出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第6条」/確認日 2026-09-29)

ここから言えること・言えないこと

言えること: 国が示す順序では、物理的防除(剪定・捕殺)が農薬より先に置かれている。リーフレットの対象範囲には住宅地が入っている。省令6条は住宅を挙げている。

言えないこと: 「個人宅の庭木に法的義務がある」。「国は庭木への農薬散布を禁止している」(通知は「やむを得ず農薬を使用する場合」を明記し、環境省のマニュアルもIPMについて「農薬使用という選択肢を排除してはいない」と書いています)。省令6条の書き方は「努めなければならない」までで、これを義務や罰則として書くこともできません。

なお「農薬」の範囲は広く、リーフレットは「ガーデニングや家庭菜園用のスプレー式の殺虫剤や殺菌剤、芝生等の雑草対策で使用する除草剤なども含まれます」と注記しています。ホームセンターで買うスプレーも、この話の射程に入ります。

除草剤側の整理は、別ページにあります。

→ 除草剤を使う前に確認すること

業者に頼む場合も同じ、と国が書いている

リーフレットの「農薬のスケジュール散布はやめよう」の項には、こうあります。

「毎年この時期に散布しているから」といった、病害虫の発生や被害を確認せずに定期的に農薬を散布することはやめましょう。業者に作業を依頼している場合も同様です。

足立区は、この内容を区民向けに「農薬を使用する前に確認すること」と「やむを得ず農薬を使用する場合に守るべきこと」の二段で整理し、名宛人を「農薬を使用する方及び使用する可能性のある方は…」と区民本人にしています(東京都環境局も同じ内容を掲載)。

(出典:東京都足立区 環境部生活環境保全課「住宅地等における農薬使用について」/確認日 2026-09-29)

環境省のマニュアルが示す、判断の分かれ道

環境省の「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(令和2年5月改訂版)は、通知の別紙の1(10)が参考にするよう求めている資料です。防除の要否を判断する軸をこう書いています。

その病害虫による植栽への影響、かぶれ等人体への危害の有無(一般に害虫のほとんどは人体に対して危害を及ぼすことはない。)

(出典:環境省 水・大気環境局「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル(令和2年5月改訂版)」/確認日 2026-09-29)

ここから2つに分かれます。

人への危害がなく、影響も限定的な場合(5.2.1)

「引き続いての観察に留めるといった選択肢もあり得る」

防除を行う場合でも「特別な理由がない限り物理的防除で対応する」

その理由は「防除を行う場合、発生初期では場所が限定されていることから、被害箇所の剪定などの物理的防除で対応が可能と考えられる」

人に危害がある場合(5.2.2①)

「人に危害があるものとして、イラガ、チャドクガ等がある」

これらでは「害虫等による健康被害の防止を優先する」

そして「発生を確認した場合はまずその区域への立入りを制限する等被害防止のための措置を講じる必要がある」

先に来るのは、人が触れないようにすることです。

6.1.1には、時機についての記述もあります。

ドクガ類、アメリカシロヒトリ等発生初期に集団で食害する害虫は、発生段階が進んで分散してしまう前に被害部位を剪定し、焼却等を行えば、農薬の散布の必要性が低下する

ここで「焼却」は勧めません

6.1.1の「焼却等」は、自治体の施設管理を含む文脈の記述です。

廃棄物処理法16条の2は廃棄物の焼却を原則禁止しており、施行令14条1号の例外は「国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却」です。5号には「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの」という例外がありますが、「軽微」の基準は条文に書かれていません。庭の剪定枝が当たるかどうかは、条文からは決まりません。

刈った枝葉の出し方は、お住まいの自治体の案内に従ってください。

チャドクガについて、自治体が書いていること

人に危害がある側の代表として名前が挙がるのがチャドクガです。自治体の記述を、書いている自治体名とセットで並べます(記述は自治体ごとに違います)。

毒針毛はどういうものか

  • 世田谷区: 「長さ0.1ミリメートルほどの、顕微鏡で拡大しないと見えない微細な毒針」で「幼虫の体表に見える長い毛ではありません」。蛹になる直前の幼虫では「50万本にも達するといわれています」
  • 茅ヶ崎市: 「長さ0.1ミリメートル程」で「この毒針毛は、風に乗って飛散します」

環境省のマニュアル(4.2.2)は「この毒毛は幼虫のみではなく、成虫、卵塊、繭にも付着している」と書いています。世田谷区は繭にも毒針毛が残るとし、世田谷区・目黒区・新潟市はいずれも死んだ毛虫(死骸)にも残るとしています。今回確認した4自治体(世田谷区・目黒区・新潟市・茅ヶ崎市)すべてに書かれていたのは「脱皮殻/抜け殻」です(2026-09-29時点)。

(出典:東京都世田谷区 世田谷保健所 生活保健課「チャドクガによる皮膚炎」/確認日 2026-09-29) (出典:神奈川県茅ヶ崎市 保健所 衛生課 環境衛生担当「チャドクガについて」/確認日 2026-09-29)

殺虫剤で死んでも残る

世田谷保健所の記述です。

殺虫剤で幼虫が死んでも、皮膚炎の原因となる毒針毛が残ります。一般家庭での駆除の基本は、生息する葉をそのまま切り取ることです。

茅ヶ崎市も「幼虫が死んでも、毒針毛は残りますので、樹木に残っている毛にも気を付けましょう」と書いています。

国の通知が示す順序(剪定が先)と同じ結論を、家庭の場面について保健所が書いている箇所です。

発生時期は、自治体で月が揃わない

自治体記述
世田谷区幼虫の発生は4月〜6月・8月〜9月。駆除の時機は4月中下旬・8月上中旬
目黒区5月から6月頃と8月から9月頃
新潟市点検時期は4月中旬頃と8月上旬頃
茅ヶ崎市「幼虫が小さく、1枚の葉に群がっている4月、8月頃」/「気候により発生時期がずれることや、1年に3回発生することがあります」

環境省のマニュアル(4.2.2)は、チャドクガを年2回発生・卵で越冬、第1回は4月中旬頃孵化して6月中旬から下旬に成熟、第2回目の幼虫は8月下旬から10月中旬までとしています。

(出典:東京都目黒区 生活衛生課 環境衛生係「チャドクガに注意」/確認日 2026-09-29) (出典:新潟市 保健衛生部 保健所環境衛生課「チャドクガについて」/確認日 2026-09-29)

カレンダーで決め打ちできない

「年2回」と書いているのは環境省のマニュアルと複数の自治体ですが、茅ヶ崎市は「1年に3回発生することがあります」と留保を付けています。

環境省のマニュアル5.1も「害虫の発生時期や場所は年によっても変化するが、継続して記録を取ることで、その地域の害虫の平均的な発生時期や被害発生箇所を把握することができ」と書いています。

決まった月に散布するのではなく、自分の庭で見て記録する——これが国の資料の書き方です。

どの木につくか

環境省のマニュアルが挙げている寄生植物です。「この木があるから危ない」という話ではなく、見る場所を絞るための情報として読んでください。

種寄生植物(マニュアル4.2の記述)
チャドクガ「ツバキ、サザンカ、ヤブツバキ、チャなどのツバキ科の植物」
ドクガ「サクラ、バラ、キイチゴ等のバラ科、コナラ、カキなど幅広く加害する」
イラガ「カキ、サクラ、ウメ、アンズ、ケヤキ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、ザクロ等広い範囲」

ドクガは年1回発生で幼虫で越冬するため、チャドクガと発生時期が違う点に注意とされています。

目黒区は「庭のツバキ、サザンカなどに発生し」としたうえで、こう書いています。

生垣などに発生した場合は、通行する方が知らずに被害にあうケースもあります

生垣をどうするかの整理は、別ページにあります。

→ 生垣をフェンスに替えるかどうか

早い段階と、遅い段階で話が変わる

環境省のマニュアル4.2.2は、家庭の庭について具体的に書いています。

  • 「家庭の庭等管理が容易な場所では、冬のうちにたんねんに葉裏の卵塊をさがして除去することも可能」
  • 「幼虫のまだ小さいうちに葉を切り取って踏みつぶしたり、ビニール袋で覆って、枝や葉を切り取って袋に入れるのも効果的な防除法」
  • 「駆除は風のないときを選び、毒針毛が直接皮膚に触れないようにして行う」

一方、遅くなった場合についてはこう書いています。

幼虫が大きくなると集団がいくつにも分かれ、被害が樹全体に及び、物理的な除去は毒針毛等が人へ付着し危険

自分でやるかどうかの線

茅ヶ崎市保健所の記述です。

チャドクガの駆除は、チャドクガが発生している場所の土地所有者や管理者が実施してください。自身での駆除が難しい場合には、専門の駆除業者へ依頼してください。

目黒区も「保健所では、個人の敷地内の害虫の駆除は行っていません。」と書いています。行政に駆除を頼める話ではありません。

樹木全体に広がった段階での作業は、環境省のマニュアル自身が「危険」と書いています。遠方の実家で、年に数回しか行けない場合は、そもそも早い段階で気づけないという前提で考えたほうが実際に合います。

なお、触れてしまった場合の対処については、複数の自治体が案内を出しています(掻いたり擦ったりしない/セロハンテープ等でそっと押さえて毒針毛を取り去る/流水で洗い流す/発疹等が出た場合は皮膚科を受診/目に入った場合は水で十分に洗い流した後に眼科を受診/衣類は粘着テープで取り除き、他の洗濯物と区別してすすぎを長めにする)。当サイトは効果効能を判断できないため、詳細は上に挙げた各自治体のページで原文を直接ご確認ください。

「木を減らす」「植え替える」も、国の資料に書かれている選択肢

庭じまいを考えている場合、ここが一番使える記述です。

環境省マニュアル5.2.2②「(合意事項の例)」

  • 「植栽や景観に大きな変化がないような保全が必要か」
  • 「物理的防除の一つとしての剪定により樹形が変わることを認めるか」
  • 「植栽の更新(別種の植栽も含む)や更地化もあり得るか」

「更地化もあり得るか」が、国の資料の合意事項の例に入っています。 毎年の防除を続けるか、木を減らすか、別の樹種に替えるかは、防除の話と切り離せない——という整理です。

両省のリーフレットも、樹種の選び方についてこう書いています。

ツバキ等にはチャドクガが発生し、その毒毛により皮膚に湿疹を引き起こすことがあります。病害虫に強い作物や樹木、品種を選んだり、人への被害が予想される樹種を植えないなどよく検討しましょう

日常の管理については、目黒区と新潟市が同じ文を書いています。

樹木を高くしない、枝葉を茂らせすぎないなど日常の樹木の管理も大切です

剪定そのものの時期と頻度については、公的資料が見つからなかった経緯を別ページにまとめています。

→ 剪定の適期と頻度について、公的資料が書いていないこと

業者に頼むときに確認すること

業者に確認したいこと

  • 散布ありきの提案になっていないか。被害部位の剪定で対応できるかを聞く
  • 「毎年この時期に」という提案なら、今年の発生や被害を確認したうえでの判断か
  • どの虫を想定しているか。人に危害がある種(チャドクガ・イラガ等)かどうか
  • 散布する場合、部位と区域をどこまでに絞るか
  • 散布以外の方法(誘殺・塗布・樹幹注入等)を検討したか
  • 隣家・通路・洗濯物への飛散を防ぐ措置をどう取るか
  • 切り取った枝葉の搬出と処分は含まれるか
  • (庭じまいを考えている場合)その樹種を減らす・別の樹種に替える選択肢をどう見るか

費用が変わる条件

  • 木の高さ(脚立で届くか、高所作業が必要か)
  • 本数と、被害の広がり(1本の一部か、樹全体か)
  • 対応の内容(被害部位の剪定だけか、全体の剪定か、散布を含むか)
  • 切り取った枝葉の量と、搬出・処分を含めるか
  • 隣家との距離(飛散を防ぐ養生が必要か)
  • 作業する季節(早い段階と遅い段階で作業量が変わります)

見積書の比べ方は、別ページにまとめています。

→ 見積書のどこを見るか

よくある質問

庭木の消毒は毎年決まった時期にすべきですか
国の資料は逆の順序を書いています。平成25年の国の通知(別紙の1)は「病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ」としており、両省のリーフレットも「『毎年この時期に散布しているから』といった、病害虫の発生や被害を確認せずに定期的に農薬を散布することはやめましょう。業者に作業を依頼している場合も同様です。」と書いています。ただしこの通知は都道府県知事宛てで、対象として名指しされているのは公園・街路樹等です。個人宅の庭木に義務があるという意味ではありません。
国は庭木への農薬散布を禁止しているのですか
禁止していません。通知の別紙の1(3)は「病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合」を明記しており、環境省のマニュアルもIPMについて「農薬使用という選択肢を排除してはいない」と書いています。言えるのは「順序として物理的防除が先に置かれている」ことだけです。
毛虫が出たら必ず駆除しなければなりませんか
環境省のマニュアル5.2.1は、人への危害がなく植栽への影響も限定され周囲への拡大もないと判断された場合について「引き続いての観察に留めるといった選択肢もあり得る」と書いています。一方、5.2.2①は「人に危害があるものとして、イラガ、チャドクガ等がある」として、これらでは「害虫等による健康被害の防止を優先する」「発生を確認した場合はまずその区域への立入りを制限する等被害防止のための措置を講じる必要がある」としています。まず人が触れないようにする、という順序です。
チャドクガは殺虫剤で駆除すればよいのですか
世田谷保健所は「殺虫剤で幼虫が死んでも、皮膚炎の原因となる毒針毛が残ります。一般家庭での駆除の基本は、生息する葉をそのまま切り取ることです。」と書いています。茅ヶ崎市も「幼虫が死んでも、毒針毛は残りますので、樹木に残っている毛にも気を付けましょう」と書いています。薬剤の効果や使い方は当サイトでは扱いませんので、これらの自治体のページで原文をそのままご確認ください。
チャドクガの発生時期はいつですか
自治体で月が揃っていません。世田谷区は幼虫の発生を4月〜6月と8月〜9月、目黒区は5月から6月頃と8月から9月頃、新潟市は点検時期を4月中旬頃と8月上旬頃としています。茅ヶ崎市は「気候により発生時期がずれることや、1年に3回発生することがあります」とも書いています。環境省のマニュアルも「害虫の発生時期や場所は年によっても変化する」としています。カレンダーで決め打ちできません。

確認した情報源

制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。

  1. 農林水産省消費・安全局/環境省水・大気環境局「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号・環水大土発第1304261号)」

    平成25年4月26日付けで都道府県知事宛てに出された通知。指導の対象を「農薬使用者、農薬使用委託者、病害虫防除等の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管理者(市民農園の開設者を含む。)」と定義している。遵守事項は通知末尾の『別紙』にあり、『1 公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項』と『2 住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項』の二本立て(枝番の「別紙1」ではなく「別紙の1」が正しい引用形式)。別紙の1(2)は、病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めることとしている。別紙の1(3)は「病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合」について、「誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を活用する」こと、「やむを得ず散布する場合であっても、最小限の部位及び区域における農薬散布にとどめること」とする。別紙の2(住宅地内及び住宅地に近接した農地。かっこ書きで「市民農園や家庭菜園を含む。」)の(1)は「物理的防除の活用等により、農薬使用の回数及び量を削減すること」で、1(公園・街路樹等)とは要求の強さが違う。別紙の1(10)は、環境省「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」に示された技術・対策を参考にするよう求めている。

    適用範囲:平成25年4月26日付け通知の全文(別紙を含む)。対象として名指しされているのは学校・保育所・病院・公園等の公共施設内の植物、街路樹など。/確認日 2026-09-29

    注意:通知本文に「個人の住宅の庭」という語は出てこない(0件)。前文には「庭園」が2回出るが(「開園時間中の公園、庭園等で農薬が散布された事例」「庭園、緑地等を有する土地・施設等の管理者等に本通知の趣旨が徹底されていない」)、これは施設等の管理者の話で、個人宅の庭とは書かれていない。都道府県知事宛ての協力要請であり、個人への直接の義務付けとは書かれていない。自宅の庭での除草・防除がこの通知のどの別紙に整理されるのかも本文からは分からない。別紙の1(公園・街路樹等)の水準を家庭菜園の話として書けない——家庭菜園・市民農園は別紙の2(農地)側で、要求は「回数及び量を削減すること」。環境省は見直し点を「対策の異なる公園、街路樹等と農地をそれぞれ別の項目として記載しました。」と説明している。

  2. 環境省 水・大気環境局「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル(令和2年5月改訂版)」

    平成25年通知の趣旨を自ら「住宅地近傍における防除に当たって、農薬を環境中に散布する影響を考慮し物理的防除を優先すること」と要約している。5.2は防除の要否を判断する軸を「その病害虫による植栽への影響、かぶれ等人体への危害の有無(一般に害虫のほとんどは人体に対して危害を及ぼすことはない。)」とする。5.2.1は、人への危害がなく植栽への影響も限定され周囲への拡大もないと判断された場合は「引き続いての観察に留めるといった選択肢もあり得る」とし、防除を行う場合でも「特別な理由がない限り物理的防除で対応する」、その理由を「防除を行う場合、発生初期では場所が限定されていることから、被害箇所の剪定などの物理的防除で対応が可能と考えられる」とする。5.2.2①は「人に危害があるものとして、イラガ、チャドクガ等がある」として「害虫等による健康被害の防止を優先する」「発生を確認した場合はまずその区域への立入りを制限する等被害防止のための措置を講じる必要がある」とする。5.2.2②の「(合意事項の例)」には「植栽や景観に大きな変化がないような保全が必要か」「物理的防除の一つとしての剪定により樹形が変わることを認めるか」「植栽の更新(別種の植栽も含む)や更地化もあり得るか」がある。6.1.1は「ドクガ類、アメリカシロヒトリ等発生初期に集団で食害する害虫は、発生段階が進んで分散してしまう前に被害部位を剪定し、焼却等を行えば、農薬の散布の必要性が低下する」。5.1に「害虫の発生時期や場所は年によっても変化するが、継続して記録を取ることで、その地域の害虫の平均的な発生時期や被害発生箇所を把握することができ」がある。4.2.2のチャドクガは年2回発生・卵で越冬、第1回は4月中旬頃孵化して6月中旬から下旬に成熟、第2回目の幼虫は8月下旬から10月中旬まで、寄生植物は「ツバキ、サザンカ、ヤブツバキ、チャなどのツバキ科の植物」、「この毒毛は幼虫のみではなく、成虫、卵塊、繭にも付着している」。「家庭の庭等管理が容易な場所では、冬のうちにたんねんに葉裏の卵塊をさがして除去することも可能」「幼虫のまだ小さいうちに葉を切り取って踏みつぶしたり、ビニール袋で覆って、枝や葉を切り取って袋に入れるのも効果的な防除法」「駆除は風のないときを選び、毒針毛が直接皮膚に触れないようにして行う」。一方「幼虫が大きくなると集団がいくつにも分かれ、被害が樹全体に及び、物理的な除去は毒針毛等が人へ付着し危険」。4.2.3のドクガは「人への害等:チャドクガと同様。」で寄生植物は「サクラ、バラ、キイチゴ等のバラ科、コナラ、カキなど幅広く加害する」、年1回発生で幼虫で越冬するため発生時期が違う。4.2.4のイラガは「幼虫には多くのトゲを持った肉質の突起があり…刺すと同時に相手に毒液を注入し激痛を与える」で寄生植物は「カキ、サクラ、ウメ、アンズ、ケヤキ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、ザクロ等広い範囲」。

    適用範囲:公園・街路樹等の管理者向け。4.2が扱う害虫は9種(アメリカシロヒトリ、チャドクガ、ドクガ、イラガ、クロシタアオイラガ、ヒロヘリアオイラガ、マツカレハ、モンクロシャチホコ、マツノマダラカミキリ)。/確認日 2026-09-29

    注意:公園・街路樹等の管理者向けの資料で、個人宅の庭木の管理義務を定めたものではない(4.2.2に「家庭の庭等」への言及はある)。6.1.1の「焼却等」は自治体の施設管理を含む文脈で、当サイトは剪定枝の焼却を勧めない(廃棄物処理法16条の2は焼却を原則禁止、施行令14条1号の例外は「国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却」)。掲載ページは「この管理マニュアルの複製及び配布には許可等を要しませんが、掲載している害虫の写真については…他の用途のために写真のみを複製し、転用することはご遠慮ください。」としており、制限は写真のみ。5.2.1が物理的防除で足りるとする理由は「場所が限定されている」ことで、「集団でかたまっている」(4.2.2・6.1.1の語)とイコールで結べない。IPMについて「農薬使用という選択肢を排除してはいない」とも書いており、「国は庭木への農薬散布を禁止している」とは書けない。

  3. 農林水産省 農薬対策室/環境省 農薬環境管理室「住宅地等における農薬の飛散防止(農林水産省・環境省リーフレット)」

    1ページ目が対象範囲を「学校、保育所、病院、公園等の公共施設、街路樹、住宅地とこれに近接する土地、住宅地に近接する森林等(以下「公園等」と称します)、及び住宅地に隣接した家庭菜園・市民農園を含む農地の管理にあたっては、公園マニュアルを参考にして…農薬を使用しない管理を心がけましょう。」と書き、2ページ目が「特に公園等においては、害虫の捕殺や被害を受けた部分の除去などの物理的な防除を優先し、やむを得ない場合にのみ農薬による防除を選択しましょう」と続ける。「農薬」の範囲について「ガーデニングや家庭菜園用のスプレー式の殺虫剤や殺菌剤、芝生等の雑草対策で使用する除草剤なども含まれます」と注記する。「農薬のスケジュール散布はやめよう」の項に「『毎年この時期に散布しているから』といった、病害虫の発生や被害を確認せずに定期的に農薬を散布することはやめましょう。業者に作業を依頼している場合も同様です。」。樹種の選び方について「ツバキ等にはチャドクガが発生し、その毒毛により皮膚に湿疹を引き起こすことがあります。病害虫に強い作物や樹木、品種を選んだり、人への被害が予想される樹種を植えないなどよく検討しましょう」。

    適用範囲:両省連名のリーフレット。対象範囲の定義に「住宅地とこれに近接する土地」が入っている。/確認日 2026-09-29

    注意:リーフレットの定義上、物理的防除優先の範囲に住宅地が入っているが、これは「個人宅の庭木に法的義務がある」という意味ではない。平成25年通知の別紙の1(公園・街路樹等)と、このリーフレットの対象範囲(住宅地を含む)は別に書く必要がある。3ページの農薬ラベル記載例にある希釈倍数等の数値は引かない。

  4. デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第6条」

    第6条は、住宅、学校、保育所、病院、公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めている。

    適用範囲:全国。2026-09-29時点で施行済みの版で確認。/確認日 2026-09-29

    注意:第6条は「努めなければならない」という努力義務の書き方であって、違反に罰則が結びつく義務規定ではない。また第2条第1項の使用量・希釈倍数・使用時期・使用回数の遵守義務は、条文上「食用及び飼料の用に供される農作物等」に使用するときの基準として定められており、庭の観賞用の植栽がここに含まれるかは条文からは判断できない。

  5. 東京都足立区 環境部生活環境保全課「住宅地等における農薬使用について」

    国の通知とリーフレットを区民向けに二段で整理している——「農薬を使用する前に確認すること」と「やむを得ず農薬を使用する場合に守るべきこと」。名宛人は「農薬を使用する方及び使用する可能性のある方は…」で、区民本人に宛てて4項目を書いている。東京都環境局も同じ内容を掲載している(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/chemical/information/jutaku_noyaku )。

    適用範囲:足立区が区民向けに出している案内。/確認日 2026-09-29

    注意:国の通知を区が区民向けに紹介したもので、区が独自の義務を課しているわけではない。「まず確認すること」という二段構成が官庁側の並びと一致していることの裏づけとして使える。

  6. 東京都世田谷区 世田谷保健所 生活保健課「チャドクガによる皮膚炎」

    「殺虫剤で幼虫が死んでも、皮膚炎の原因となる毒針毛が残ります。一般家庭での駆除の基本は、生息する葉をそのまま切り取ることです。」毒針毛は「長さ0.1ミリメートルほどの、顕微鏡で拡大しないと見えない微細な毒針」で「幼虫の体表に見える長い毛ではありません」。蛹になる直前の幼虫では「50万本にも達するといわれています」。幼虫の発生は4月〜6月・8月〜9月、駆除の時機は4月中下旬・8月上中旬。脱皮殻・繭・死んだ毛虫にも毒針毛が残る。駆除はポリエチレン袋を2重にする。毒成分について「毒成分としては、ヒスタミンや発痛物質が知られていますが、詳細は不明です」。触れてしまった場合は掻いたり擦ったりせず、セロハンテープ等でそっと押さえて毒針毛を取り去り、強い流水やシャワーで洗い流す。かゆみは2〜3週間続くとする。

    適用範囲:世田谷区が区民向けに出している案内。/確認日 2026-09-29

    注意:発生時期は世田谷区の記述で、全国一律の月ではない(目黒区は5月から6月頃と8月から9月頃、新潟市は点検時期を4月中旬頃と8月上旬頃、茅ヶ崎市は「気候により発生時期がずれることや、1年に3回発生することがあります」)。症状の期間も出典ごとに違う(環境省マニュアルは「場合によっては1週間以上、激しいかゆみに悩まされる」)。当サイトは薬・処置の効果効能を自分の言葉で書かない——このページにある軟膏や温度に関する記述は、区の記述として引用する以外の書き方をしない。袋の語も自治体で違う(世田谷区はポリエチレン袋、目黒区・新潟市はビニール袋)。

  7. 東京都目黒区 生活衛生課 環境衛生係「チャドクガに注意」

    「庭のツバキ、サザンカなどに発生し」「生垣などに発生した場合は、通行する方が知らずに被害にあうケースもあります」と書く。発生は5月から6月頃と8月から9月頃。駆除は風上から近づく。脱皮殻や死んだ毛虫にも毒針毛が残る。日常の管理として「樹木を高くしない、枝葉を茂らせすぎないなど日常の樹木の管理も大切です」。「保健所では、個人の敷地内の害虫の駆除は行っていません。」

    適用範囲:目黒区が区民向けに出している案内。/確認日 2026-09-29

    注意:発生時期は目黒区の記述で、他自治体と月が揃っていない。「保健所では、個人の敷地内の害虫の駆除は行っていません。」=行政に駆除を頼めるという話ではない。

  8. 神奈川県茅ヶ崎市 保健所 衛生課 環境衛生担当「チャドクガについて」

    「チャドクガの駆除は、チャドクガが発生している場所の土地所有者や管理者が実施してください。自身での駆除が難しい場合には、専門の駆除業者へ依頼してください。」駆除の時機を「幼虫が小さく、1枚の葉に群がっている4月、8月頃」とし、「気候により発生時期がずれることや、1年に3回発生することがあります」とも書く。「幼虫が死んでも、毒針毛は残りますので、樹木に残っている毛にも気を付けましょう」。毒針毛は「長さ0.1ミリメートル程」で「この毒針毛は、風に乗って飛散します」。駆除は袋をかぶせ、枝ごと切り取って処分する。

    適用範囲:茅ヶ崎市保健所が市民向けに出している案内。/確認日 2026-09-29

    注意:駆除の実施責任は土地所有者・管理者にあると市が明記している。 発生回数について「1年に3回発生することがあります」と留保を付けているのは今回確認したなかでこの市だけで、「年2回」で決め打ちできない。

  9. 新潟市 保健衛生部 保健所環境衛生課「チャドクガについて」

    点検時期を4月中旬頃と8月上旬頃とする。駆除は風上から近づき、二重にしたビニール袋に入れる。脱皮殻・死骸にも毒針毛が残る。触れた場合は流水で洗い流し、衣類は粘着テープで毒針毛を取り除いたうえで、他の洗濯物と区別してすすぎを長めにする。日常の管理として「樹木を高くしない、枝葉を茂らせすぎないなど日常の樹木の管理も大切です」。かゆみは2〜3週間続くとする。

    適用範囲:新潟市が市民向けに出している案内。/確認日 2026-09-29

    注意:点検時期は新潟市の記述で、他自治体と月が揃っていない。当サイトは薬・処置の効果効能を自分の言葉で書かない——このページにある処置の記述は、市の記述として引用する以外の書き方をしない。