庭で除草剤を使う前の注意点|農薬登録と住宅地での飛散
庭で除草剤を使う前の注意点を整理しました。市販品には農薬登録のあるものと農薬ではないものがあり、庭の植栽に使えるかが分かれます。見分け方、住宅地で求められる配慮、国の通知が物理的な除草を先に挙げていることを原文で確かめます。
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結論から書きます。ホームセンターに並ぶ除草剤は、法律上2種類に分かれます。そして、庭の植栽の管理に使えるのは一方だけです。見分けるのは容器の表示です。
除草剤は2種類ある
農林水産省は、除草剤には次の2つがあると説明しています。(出典:農林水産省 消費・安全局農産安全管理課農薬対策室「除草剤の販売・使用について」/確認日 2026-09-29)
- 農薬登録のある除草剤
- 農薬ではない(登録されていない)除草剤
見分け方も同じページに書かれています。
- 農薬登録のある除草剤 … 容器・包装に「農林水産省登録第○○○○○号」の記載がある
- 農薬登録されていない除草剤 … 容器・包装と店舗の見やすい場所に「農薬として使用することができない」旨の記載がある
登録のないものを庭の植栽に使うのは禁止されています
農林水産省は、農薬登録されていない除草剤を「農作物や樹木・芝・花きなどの栽培・管理」に利用することは法律で禁止されていると書いています。そしてこの栽培・管理には家庭菜園やガーデニングも含まれると明記しています。(出典:農林水産省 消費・安全局農産安全管理課農薬対策室「除草剤の販売・使用について」/確認日 2026-09-29)
「非農耕地用」は「庭に使ってよい」ではありません
ここが誤解されやすいところです。農林水産省は販売者に対して、「非農耕地専用」という表現が「農耕地でなければ使用することができる(例:公園、緑地等であれば植栽管理に用いることができる。)」という誤解を与える事例が発生しているため、この表現を用いた表示を控えるよう求めています。(出典:農林水産省 消費・安全局農産安全管理課農薬対策室「除草剤の販売・使用について」/確認日 2026-09-29)
分かれ目は場所ではなく目的です
農林水産省のページの区分は場所のリストではありません。原文は「道路、駐車場、グラウンドなどの、農作物や樹木・芝・花きなどの栽培・管理の目的以外で使用される除草剤です」と書かれています。判断の軸は、栽培・管理の目的かどうかです。「自宅の敷地内だから」という理由では分かれません。
法律は何と定めているか
農薬取締法2条1項は、農薬を「農作物(樹木及び農林産物を含む。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、草その他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤」等と定義しています。(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第2条・第22条・第24条・第47条」/確認日 2026-09-29)
同法24条は「何人も、次に掲げる農薬以外の農薬を使用してはならない」と定めています。掲げられているのは、容器又は包装に登録の表示がある農薬と、特定農薬です。同法47条に罰則が置かれています。
同法22条は、農薬以外の除草剤を販売する者に、容器又は包装にその除草剤を農薬として使用することができない旨の表示をすることを義務づけています。店頭の表示は、この規定に対応するものです。
条文と説明ページは別の話です
条文は「農作物(樹木及び農林産物を含む。)」と定義するだけで、住宅の庭の植栽を名指した文言はありません。庭の植栽が含まれるという説明は農林水産省のページ側にあります。条文の文言と、省の説明は別のものとして読んでください。
住宅地で使うときに求められること
「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」第6条は、次のように定めています。(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第6条」/確認日 2026-09-29)
住宅、学校、保育所、病院、公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない
「努めなければならない」という書き方です。努力義務であって、違反に罰則が結びつく義務規定ではありません。ただし、自宅の庭はここでいう「住宅…の敷地」に当たり、隣家は「これらに近接する土地」に当たります。
使用量の基準は対象が限定されています
同省令第2条第1項の使用量・希釈倍数・使用時期・使用回数の遵守義務は、条文上「食用及び飼料の用に供される農作物等」に使用するときの基準として定められています。庭の観賞用の植栽がここに含まれるかは、条文からは判断できません。
国の通知は、薬剤より先に物理的な方法を挙げています
平成25年4月26日付けで農林水産省と環境省が都道府県知事宛てに出した通知は、別紙1(2)でこう求めています。(出典:農林水産省消費・安全局/環境省水・大気環境局「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号・環水大土発第1304261号)」/確認日 2026-09-29)
病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること
「定期的に撒く」をやめることが先に来ています。そのうえで、せん定・機械除草などの物理的な方法が挙げられています。同じ通知を庭木の毛虫の側から読んだ整理は庭木の毛虫の消毒に、登録のある農薬の適用表をどう読むかは竹の駆除に除草剤は使えるかにあります。
この通知の名宛人
この通知は都道府県知事宛ての協力要請です。通知が指導の対象として定義しているのは「農薬使用者、農薬使用委託者、病害虫防除等の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管理者(市民農園の開設者を含む。)」で、本文に「個人の住宅の庭」という語は出てきません(0件)。個人への直接の義務付けとは書かれていません。
買う前・撒く前に見るところ
業者に確認したいこと
- 容器に「農林水産省登録第○○○○○号」があるか、「農薬として使用することができない」旨の記載があるか
- その除草剤を使う場所は、草花・芝・庭木の栽培や管理を目的とした場所か
- 隣家・道路・水路との距離。風向きと風の強さ
- 散布ではなく、抜く・刈る・覆うで足りる範囲ではないか
- 容器に書かれている使用方法と注意事項を読んだか
この記事で確定できなかったこと
公的な資料では確かめられなかったこと
- 自宅の庭(観賞用の植栽・芝・砂利部分)での除草が、平成25年通知の別紙1と別紙2のどちらとして整理されるのか
- 個人が自宅の庭で使うときの近隣への事前周知が、法令上の義務なのか行政指導の事項なのか
- 住宅の敷地内の砂利敷き・コンクリート部分だけの除草に、登録のない除草剤を使ってよいか
- 具体的な製品の効果・持続期間・安全性
製品の比較はしていません。当サイトは製品を試しておらず、性能や持続期間を比べた一次資料も持っていないためです。選ぶときの手がかりとして書けるのは、容器の表示と、法令・通知が求めている使い方までです。
このあと、どこから読むか
薬剤を使わずに手入れを減らす方法は草むしりを減らすにはと防草シートと砂利敷きを検討するときの費用・管理・注意点に、帰省のたびに手が回らない実家の庭は実家の庭の管理を続けるか、減らすかに書いています。買って使い切れずに残った分の行き先は、このページでは扱っていません。鳥取県が「農薬は一般的な自治体のごみ回収に出すことはできません。」と書いていることと、そこで示されている相談先の順番は使いかけの農薬・塗料の行き先に整理しています。
よくある質問
市販の除草剤なら、どれを庭に使ってもよいですか
どちらの除草剤か、どこを見れば分かりますか
「非農耕地用」と書いてあれば、庭に使ってよいということですか
近所に知らせてから撒く必要はありますか
まず何から考えればよいですか
確認した情報源
制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。
- 農林水産省 消費・安全局農産安全管理課農薬対策室「除草剤の販売・使用について」
除草剤には「農薬登録のある除草剤」と「農薬ではない(登録されていない)除草剤」の2種類があり、前者は容器・包装に「農林水産省登録第○○○○○号」の記載が、後者には容器・包装と店舗の見やすい場所に「農薬として使用することができない」旨の記載があると説明している。登録のない除草剤を農作物や樹木・芝・花きなどの栽培・管理に利用することは法律で禁止されており、この栽培・管理には家庭菜園やガーデニングも含まれると明記している。販売者には「非農耕地専用」という表現が誤解を与える事例があるとして、その表示を控えるよう求めている。
適用範囲:全国。「使用者の方へ」「販売者の方へ」の2部構成。/確認日 2026-09-29
注意:2種類の区分は場所のリストではなく使用の目的で分かれている。原文は「道路、駐車場、グラウンドなどの、農作物や樹木・芝・花きなどの栽培・管理の目的以外で使用される除草剤です」。したがって「住宅の敷地内なら登録のない除草剤を使ってよい」とは読めない。判断の軸は場所ではなく、栽培・管理の目的かどうか。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第2条・第22条・第24条・第47条」
2条1項は農薬を、農作物(樹木及び農林産物を含む。)を害する菌・線虫・だに・昆虫・ねずみ・草その他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤・殺虫剤・除草剤その他の薬剤等と定義する。22条は農薬以外の除草剤を販売する者に、容器又は包装に農薬として使用できない旨の表示を義務づける。24条は「何人も、次に掲げる農薬以外の農薬を使用してはならない」と定める。47条は24条違反への罰則を定める。
適用範囲:全国。2026-09-29時点で施行済みの版で確認。/確認日 2026-09-29
注意:条文は「農作物(樹木及び農林産物を含む。)」と定義するだけで、住宅の庭の植栽を名指した文言はない。庭の植栽が含まれるという説明は農林水産省のページ側にあり、条文そのものから直接読めるわけではない。両者は別の話として書き分けること。特定農薬の根拠条文は現行法では第3条第1項ただし書であり、第2条第1項ではない。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第6条」
第6条は、住宅、学校、保育所、病院、公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めている。
適用範囲:全国。2026-09-29時点で施行済みの版で確認。/確認日 2026-09-29
注意:第6条は「努めなければならない」という努力義務の書き方であって、違反に罰則が結びつく義務規定ではない。また第2条第1項の使用量・希釈倍数・使用時期・使用回数の遵守義務は、条文上「食用及び飼料の用に供される農作物等」に使用するときの基準として定められており、庭の観賞用の植栽がここに含まれるかは条文からは判断できない。
- 農林水産省消費・安全局/環境省水・大気環境局「住宅地等における農薬使用について(25消安第175号・環水大土発第1304261号)」
平成25年4月26日付けで都道府県知事宛てに出された通知。指導の対象を「農薬使用者、農薬使用委託者、病害虫防除等の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管理者(市民農園の開設者を含む。)」と定義している。遵守事項は通知末尾の『別紙』にあり、『1 公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項』と『2 住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項』の二本立て(枝番の「別紙1」ではなく「別紙の1」が正しい引用形式)。別紙の1(2)は、病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めることとしている。別紙の1(3)は「病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合」について、「誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を活用する」こと、「やむを得ず散布する場合であっても、最小限の部位及び区域における農薬散布にとどめること」とする。別紙の2(住宅地内及び住宅地に近接した農地。かっこ書きで「市民農園や家庭菜園を含む。」)の(1)は「物理的防除の活用等により、農薬使用の回数及び量を削減すること」で、1(公園・街路樹等)とは要求の強さが違う。別紙の1(10)は、環境省「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」に示された技術・対策を参考にするよう求めている。
適用範囲:平成25年4月26日付け通知の全文(別紙を含む)。対象として名指しされているのは学校・保育所・病院・公園等の公共施設内の植物、街路樹など。/確認日 2026-09-29
注意:通知本文に「個人の住宅の庭」という語は出てこない(0件)。前文には「庭園」が2回出るが(「開園時間中の公園、庭園等で農薬が散布された事例」「庭園、緑地等を有する土地・施設等の管理者等に本通知の趣旨が徹底されていない」)、これは施設等の管理者の話で、個人宅の庭とは書かれていない。都道府県知事宛ての協力要請であり、個人への直接の義務付けとは書かれていない。自宅の庭での除草・防除がこの通知のどの別紙に整理されるのかも本文からは分からない。別紙の1(公園・街路樹等)の水準を家庭菜園の話として書けない——家庭菜園・市民農園は別紙の2(農地)側で、要求は「回数及び量を削減すること」。環境省は見直し点を「対策の異なる公園、街路樹等と農地をそれぞれ別の項目として記載しました。」と説明している。
