庭木の剪定時期と回数|いつやるか、年に何回必要か
庭木の剪定時期をこの月が適期と言い切れる公的資料は見つかりませんでした。見つかるのは街路樹と公共施設のための基準です。そこに何が書いてあり、庭木にそのまま当てはめられない理由は何かを、県と都のマニュアルで確かめます。
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先に結論を書きます。庭木について「この樹種はこの月が適期」と全国向けに言い切れる公的資料は、見つかりませんでした。
見つかるのは街路樹と公共施設緑化のための管理基準です。それらはいずれも、庭木に当てはめてよいとは書いていません。ここでは、その資料に何が書いてあるかと、そのまま持ち込めない理由を並べます。
なぜこの書き方をするか
当サイトは樹木の専門機関ではなく、庭木の生育を調べた一次資料も持っていません。街路樹と公共施設緑化の管理基準は、道路や公共用地の樹木を対象に書かれたものです。街路樹の基準を「庭木の正解」として書き換えると、根拠のないことを断定することになります。書けるのは、公的資料が何を対象に何を書いているか、までです。
国の資料には、剪定の季節が書かれていない
まず確かめたのは、国の道路管理者の資料です。国土交通省関東地方整備局 東京国道事務所の「街路樹管理マニュアル」(令和4年2月・全53ページ)には、「時期」「休眠」「落葉期」「冬」「夏」という語が1か所も出てきません(全ページを機械検索して0件)。(出典:国土交通省関東地方整備局 東京国道事務所「街路樹管理マニュアル(令和4年2月)2 街路樹管理の基本方針(2)実施方針及び頻度」/確認日 2026-09-29)
つまり「国が◯月を適期としている」とは書けません。頻度についても、樹種や路線の条件によって変えるという考え方が示されているだけです。
都道府県のマニュアルが書いている「理由」
季節の記述があるのは都道府県のマニュアルです。埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」は次のように書いています。(出典:埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)5.2 樹木の生育サイクルと剪定時期/5.2.2 厳禁とする剪定/5.2.3 花木の剪定」/確認日 2026-09-29)
剪定の適期は、落葉樹は晩秋から早春の芽出し前の落葉期間と、常緑樹も含め、一時葉の生長が緩慢になり、寒さの影響を受けない夏の頃とされてきた
理由も書かれています。
樹木が活動している期間に剪定すればダメージが大きく、休眠期または緩い生長期に行えば、痛手を最小限とすることができる
持ち運べるのは時期より理由です
月の数字は「東京の街路樹を対象にした時期表」に基づくもので、しかもその表は1985年の文献を参考に作成されたものです。一方で「木が動いている時期に切るとダメージが大きい」という理由のほうは、樹木の性質の話です。業者と話すときに使えるのは、こちらだと考えています。
絶対に避けるとされている4つ
同じ埼玉県のマニュアルは、街路樹について「剪定を絶対に避けなくてはならない」ものを4つ挙げています。(出典:埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)5.2 樹木の生育サイクルと剪定時期/5.2.2 厳禁とする剪定/5.2.3 花木の剪定」/確認日 2026-09-29)
- 春の若葉の展開期の剪定
- 夏期の強い剪定
- 秋早い剪定
- 暖地性の常緑広葉樹における厳冬期の剪定
3つめについては「落ち葉が散らない前に、枝に着いたままの葉を一気に処分するため」に行われることがあるとしたうえで、「これも絶対に行ってはならない」と書かれています。落ち葉の掃除を減らしたくて秋に切る、という動機は名指しで否定されています。
夏の剪定は「全部の木に毎年」ではない
同マニュアルは夏期剪定について、「枝葉の切除の量は全量の1/3以下」とし、さらにこう書いています。(出典:埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)5.2 樹木の生育サイクルと剪定時期/5.2.2 厳禁とする剪定/5.2.3 花木の剪定」/確認日 2026-09-29)
全ての樹木に対して行う必要はなく、強い冬期剪定による樹冠の乱れのひどいものや枝葉の生長が旺盛な樹木に限って行うのが望ましい
公的な管理基準でも、夏の剪定は全部の木に毎年必要とはされていません。
東京都の計画書が樹種ごとに書いていること
東京都建設局の「街路樹維持管理計画書」は、剪定を「基本剪定(冬期剪定)」と「軽剪定(夏期剪定)」に分けています。冬期剪定は「剪定のダメージを最小限にとどめるために樹木の休眠期(晩秋~早春)に行う」、夏期剪定は「梅雨前後から秋前を基本とするが、酷暑期は極力避ける」としています。(出典:東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書(令和3年12月)」/確認日 2026-09-29)
樹種別では、落葉樹9種(アオギリ・イチョウ・エンジュ・ケヤキ・サトザクラ・ソメイヨシノ・タイワンフウ・トウカエデ・ユリノキ)が「冬期:12月~2月頃」、クスノキ・タブノキが「夏期:6月~9月頃(酷暑期、強乾燥期は避ける)」です。暖地性の常緑樹であるクスノキ・タブノキには「厳冬期の剪定は避ける」と付記されています。
「厳冬期」と「冬期」は違います
シラカシの欄は「2月~3月頃/厳冬期は避け新芽が萌芽する前」です。「冬期を避ける」ではありません。寒さのピークを外すという意味で、冬に切るなという意味ではありません。この2つは反対の意味になるので、読み替えないでください。
頻度も「樹種と、どの大きさで保つか」で変わる
東京都の計画書は頻度を樹種と目標の大きさで変えています。クスノキ・タブノキは「樹形が整えば剪定は2年置き程度でよいが、狭い空間でコンパクトに維持するには隔年に行う」、エンジュは「コンパクトな樹形を維持するには毎年の剪定が必要である」といった書き方です。スズカケノキは「萌芽力が旺盛なため、年2回(夏期・冬期)剪定を行う」とされています。(出典:東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書(令和3年12月)」/確認日 2026-09-29)
埼玉県のマニュアル別冊は、主要14種の「剪定頻度」を「3~5年に1回/2~3年に1回/毎年」の3段階で区分しています。(出典:埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)5.2 樹木の生育サイクルと剪定時期/5.2.2 厳禁とする剪定/5.2.3 花木の剪定」/確認日 2026-09-29)
この区分の意味
この「剪定頻度」欄は、高い頻度で剪定が必要かどうかを3段階に区分したものであって、「この樹種は毎年切らなければならない」という指示ではありません。区分は、街路樹として樹高・枝張りを抑えて維持する前提の設計条件(樹高限界・枝張限界)に紐づいています。庭では、その前提がそもそも違います。
公的資料どうしが食い違うところ
サクラ類が分かりやすい例です。
- 埼玉県の主要街路樹一覧は、サクラ類を剪定頻度「毎年」の区分に置いている
- 同じ埼玉県のマニュアル本編は「剪定を厳禁とするサクラ類」と書いている
同じ県の資料の中でも、節によって書き方が違います。庭のサクラをどう扱うかは、この2つの記述からは決まりません。切るかどうかを決める前に、樹木の専門業者に現物を見てもらってください。
業者に聞くとよいこと
切る時期には、木の負担とは別の制約が入ることもあります。枝の込んだところに鳥の巣があると、中に卵やヒナがいるかどうかで扱いが変わり、工事の段取りを動かす話になる場合があります(庭木を切る前に巣の中を見る)。毛虫の被害が出ているときも暦では決まらず、国の通知は被害を受けた部分のせん定を農薬より先に置いています(庭木の毛虫の消毒)。
時期を自分で決め切ろうとするより、見てもらって理由を聞くほうが確かです。
業者に確認したいこと
- この木は落葉樹か常緑樹か。常緑なら暖地性か
- いま切ると、木にどういう負担がかかるか
- 花が咲く木なら、花芽はいつできるか。切ると来年咲かなくなるか
- どの大きさで保ちたいか。それだと何年に1回になるか
- 今回切る量は全体のどのくらいか
この記事で確定できなかったこと
書けなかったこと
- 庭木について「この樹種はこの月が適期」と言える公的資料
- 庭木は年に何回剪定すべきかという公的な推奨
- マツ・ツツジ・モミジ(カエデ類)・サザンカ・ウメ・カキ・キンモクセイ・ツバキなど、庭に多い樹種の適期
- サクラ類を庭で剪定してよいのかどうか
- 庭木の「剪定時期の一覧表」として全国で使えるもの
- 街路樹の基準を庭木に当てはめてよいかどうか
いずれも、上に挙げた国・都・県の資料には書かれていませんでした(2026-09-29に確認)。いちばん近いのは東京都の計画書の樹種別で、トウカエデを含む落葉樹9種が「冬期:12月~2月頃」とされています。ただしこれは街路樹としての管理の話で、同じカエデ類だからモミジも同じ、とは書かれていません。なお空き家の庭については、空家法の基本指針が「定期的に枝の剪定等を行う」ことを挙げています(空き家の庭の手入れと空家法の管理指針)。ただしそこでも、剪定の時期や頻度の基準は示されていません。
このあと、どこから読むか
切ると決めたあとの費用と段取りは庭木の伐採費用と追加料金を確認するポイントに、手入れを続けるか減らすかの判断は実家の庭の管理を続けるか、減らすかと庭じまいのあとの暮らしに書いています。隣にはみ出した枝の扱いは隣からはみ出した枝を自分で切ってよいかをご覧ください。
よくある質問
庭木の剪定に「適期」はありますか
それでも参考になることはありますか
年に何回切ればよいですか
絶対に避けたほうがよい時期はありますか
花が咲く木はいつ切ればよいですか
確認した情報源
制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。
- 埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)5.2 樹木の生育サイクルと剪定時期/5.2.2 厳禁とする剪定/5.2.3 花木の剪定」
「剪定の適期は、落葉樹は晩秋から早春の芽出し前の落葉期間と、常緑樹も含め、一時葉の生長が緩慢になり、寒さの影響を受けない夏の頃とされてきた」と書き、理由を「樹木が活動している期間に剪定すればダメージが大きく、休眠期または緩い生長期に行えば、痛手を最小限とすることができる」と説明している。夏期剪定は「枝葉の切除の量は全量の1/3以下」「全ての樹木に対して行う必要はなく」とする。絶対に避けるものとして「春の若葉の展開期の剪定」「夏期の強い剪定」「秋早い剪定」「暖地性の常緑広葉樹における厳冬期の剪定」の4つを挙げる。花木は「剪定を厳禁とするサクラ類を除き、花が終わった直後から1ヶ月以内」とする。
適用範囲:埼玉県。街路樹を対象にした県のマニュアル。表5-1は東京の街路樹を対象にした時期表で、1985年の文献を参考に作成されたもの。/確認日 2026-09-29
注意:街路樹のための基準であり、庭木に当てはめてよいとはどこにも書かれていない。「厳禁とする剪定」4項目の理由も、街路樹の健康と街路樹に期待される機能(緑陰形成・景観など)に紐づいている。同じ県の資料内でもサクラ類の扱いが節によって違う(本編は「剪定を厳禁とするサクラ類」、別冊の一覧は剪定頻度「毎年」区分)。
- 東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書(令和3年12月)」
剪定を「基本剪定(冬期剪定)」と「軽剪定(夏期剪定)」に分け、冬期剪定は「剪定のダメージを最小限にとどめるために樹木の休眠期(晩秋~早春)に行う」、夏期剪定は「梅雨前後から秋前を基本とするが、酷暑期は極力避ける」と書く。樹種別剪定標準計画では、落葉樹9種の剪定時期を「冬期:12月~2月頃」、クスノキ・タブノキを「夏期:6月~9月頃」とし、暖地性の常緑樹であるクスノキ・タブノキは「厳冬期の剪定は避ける」、シラカシは「2月~3月頃/厳冬期は避け新芽が萌芽する前」とする。頻度も樹種と目標の大きさで変えている。
適用範囲:東京都。街路樹を対象にした都の計画書。/確認日 2026-09-29
注意:街路樹(建築限界・高所作業車での作業・並木としての統一美)を前提にした計画書で、個人宅の庭木に当てはめてよいとはどこにも書かれていない。「冬期:12月~2月頃」等の月は東京都の街路樹の標準であって、全国・全樹種の適期ではない。シラカシの記載は「厳冬期は避け」であって「冬期は避け」ではない。この2つは意味が反対になるので取り違えないこと。ウメ・カキ・キンモクセイ・ツバキなど庭に多い樹種は樹種別の表に入っていない。
- 国土交通省関東地方整備局 東京国道事務所「街路樹管理マニュアル(令和4年2月)2 街路樹管理の基本方針(2)実施方針及び頻度」
剪定の頻度について、樹種・路線の条件によって変えるという考え方を示している。
適用範囲:全53ページ。国の道路管理者が管理する街路樹が対象。/確認日 2026-09-29
注意:本文に「時期」「休眠」「落葉期」「冬」「夏」という語が1か所も出てこない(全53ページを機械検索して0件・2026-09-29確認)。つまり国の道路管理者の資料は剪定の季節を定めていない。この資料を根拠に「国が◯月を適期としている」と書いてはいけない。
