庭木の移植|伐るか移すか、根回しの時期と枯れたときの扱い
庭じまいで残したい木を移すか、伐るか、挿し木・接ぎ木で後継を残すか。移植が難しくなる大きさと樹種、根回しを1〜2年前に始める理由、樹種ごとの移植の適期、枯れたときの扱いを、国の工事仕様書・日本緑化センター・森林総合研究所の資料で整理しました。
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庭じまいで「この木だけは残したい」となったとき、選べるのは移植する・伐る・挿し木や接ぎ木で後継の苗を残すの3つです。移植は伐らずに済む方法ですが、根づくことは約束されていません。判断の材料は次の4つです。
- 木の大きさと年齢:大きな木・老木は、移植の1〜2年前から「根回し」をして細い根を出させてから掘るのが基本です
- 樹種:移植しやすい木と難しい木があり、向く時期も樹種で違います
- 移す先:新居・親族の庭まで運べるか。道路で運ぶ場合の高さの上限、移した先で2年は水やりを見守れるか
- 枯れたときの扱い:国の工事の仕様書でも、移植した木は「枯れたら伐って片付ける」扱いで、植え直しは含まれていません。契約で決めておく項目です
このページでは、国土交通省の工事仕様書、日本緑化センターと森林総合研究所の資料、世田谷区の助成制度から、伐る前に何を決めればよいかを整理します。
このページで書いていないこと
伐る場合の費用と追加料金は庭木の伐採費用と追加料金を確認するポイント、切り株と根を残すか抜くかは抜根・切り株撤去の費用、残す木の手入れの時期は庭木の剪定時期と回数に分けています。移植の費用の相場は、確かめられる一次資料がないため載せていません。
移す・伐る・後継を残す、の3つを比べる
どれか一つに決める必要はありません。たとえば「大きくなりすぎた親の木は伐り、挿し木の苗を新居で育てる」という組み合わせもあります。
移植が難しくなるのは、どんな木か
根回しが必要とされる木
日本緑化センターは、移植の作業を「根回し、掘取、運搬、植栽」の4つの工程に分け、根回しが必要な木として次を挙げています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「緑化樹木の移植技術」(鉢の形状・林試移植法の技術ポイント、剥皮・枝抜きのポイントを含む)」/確認日 2026-10-27)。
- 壮年期を過ぎた老木
- 相当の大木
- 新根の発生が不良な樹種
- 貴重樹で安全に活着を望むもの
- 移植しても活着不良といわれる名木
- 移植経験の浅い外来樹木
- 掘り取ったところ根の発育が不良な樹木
庭じまいで「残したい」と思う木は、長く庭にあった大きな木であることが多く、この一覧に当てはまりやすいことを前提に考えたほうが安全です。
太い木ほど、移した後の回復に時間がかかる
日本緑化センターの資料(米国の樹木管理の学術誌の論文の紹介)は、胸高直径4インチ(約10cm)以上の木は移植後の生育が遅く、成長が数年停滞することもしばしば起こるとしています。同じ時期に植えた1〜3インチ(約2.5〜7.5cm)の木が、大きい木が元気を取り戻す前に追いつく、あるいは追い越すこともよくある、と紹介しています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「移植技術のワンポイントアドバイス」(ビデオ副読本・平成13年作成)」/確認日 2026-10-27)。
「大きな木をそのまま移す」ことと「その木が元の姿で育ち続ける」ことは、別に考える必要があります。
樹種ごとの、移植のしやすさと向く時期
日本緑化センターの「移植技術のワンポイントアドバイス」には、9つの文献の評価をまとめた「緑化樹木の移植難易」の表があり、移植の適期は文献のうち『造園ハンドブック』(技報堂出版)の記載だけを載せています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「移植技術のワンポイントアドバイス」(ビデオ副読本・平成13年作成)」/確認日 2026-10-27)。庭木によくある樹種を抜き出します。
| 樹種 | 根の張り方 | 文献の評価(移植の難易) | 移植の適期(月) |
|---|---|---|---|
| ウメ | 浅い | 9文献すべて「易」 | 11〜3月 |
| ソメイヨシノ | 浅い | 「中」が多く、「易」が1文献 | 10〜11月、2〜3月 |
| イロハモミジ | 深い | 「易」が多く、「中」が2文献 | 10〜12月、2〜3月 |
| キンモクセイ | 深い | 「中」が多く、「易」が2文献 | 5〜7月、9〜10月 |
| クロマツ | 深い | 7文献すべて「中」 | 6〜11月、2〜4月 |
| タイサンボク | 深い | 9文献すべて「難」 | 5月 |
この表の読み方
適期は『造園ハンドブック』(技報堂出版)の記載を載せたもので、地域や、その年の気温・雨の降り方は反映していません。同じ樹種でも、木の大きさ・年齢・根の状態で難しさは変わります(上の「根回しが必要とされる木」)。この表は「難しい樹種かどうか」の当たりをつけるためのもので、実際の時期は木を見た造園業者と決めてください。
樹種によって向く時期がかなり違う(ウメは11〜3月、キンモクセイは5〜7月と9〜10月)ことは押さえておくと、解体や引き渡しの日程との兼ね合いを考えやすくなります。家の明け渡しの日が決まっているなら、その日から逆算して、移植の適期と根回しの期間が間に合うかを先に確かめます。
根回しは、移植の1〜2年前に始める
根回しとは
日本緑化センターは、根回しを「樹木を移植する一、二年前」にその周囲を掘って、側根の大きなものと主根とを残し、その他の根を切って細根を発生させ、移植を容易にするために行うもの、と説明しています。作業の流れは、枝抜き→発生木材処分→掘り下げ→整根→鉢巻き→埋戻し→残土敷均し→仮支柱取り付け、です(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「緑化樹木の移植技術」(鉢の形状・林試移植法の技術ポイント、剥皮・枝抜きのポイントを含む)」/確認日 2026-10-27)。
国土交通省の公共建築工事標準仕様書も、植樹の節(新植と移植に適用)の材料の規定で、樹木を「あらかじめ根回し又はコンテナ栽培(容器栽培)をした細根の多い栽培品」とするよう定めています(やむを得ない場合の例外あり)(出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部「国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」23章3節 植樹(23.3.2〜23.3.6)」/確認日 2026-10-27)。移植で大事なのは、太い根ではなく、水を吸う細い根を鉢の中に持っていけるかどうかです。
鉢(根の周りの土の塊)の大きさの目安
日本緑化センターは、根回しをする鉢径の簡易な定め方として、縄で根元を一周し、それを二つに折って、根元に沿って円を描いた範囲を鉢径とする方法を示しています。落葉樹の場合は、根元周の3分の2を半径とする円が鉢径になる、としています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「緑化樹木の移植技術」(鉢の形状・林試移植法の技術ポイント、剥皮・枝抜きのポイントを含む)」/確認日 2026-10-27)。
自分で掘るためではなく、業者の説明を聞くときの物差しとして使ってください。鉢が大きくなるほど重くなり、人の手で運べない大きさになれば機械が要ります。鉢を崩さずに運び出せる通り道があるかも、移植ができるかを分ける条件です。
掘り取りから植え付けまで(国の仕様書の手順)
国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、樹木の移植について次の手順を定めています(出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部「国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」23章3節 植樹(23.3.2〜23.3.6)」/確認日 2026-10-27)。
- 掘り取りに先立ち、樹種に応じて枝抜きや摘葉を行い、仮支柱を取り付けるなど適切な養生を行う
- 根鉢は樹木の特性に応じた大きさに掘り出す。太い根は根鉢よりやや長めに切り取り、細根の密生している部分は残すよう努める
- 根鉢は、わら縄・こもなどで堅固に根巻きを行う
- 枝や幹の損傷、鉢崩れ、乾燥がないよう保護養生のうえ、直ちに移植場所に運ぶ
見積書に「根回し」「掘取」「運搬」「植付」「支柱」がそれぞれ入っているかを見ると、何をしてもらえるのかが分かりやすくなります。
移す先を決める
新居・親族の庭まで運ぶなら、高さに上限がある
日本緑化センターは、道路で運んで移植する場合は高さ3.8mが上限なので、広がっている枝はしおりをかけるか(縄で枝をまとめて縛ること)、樹種によっては範囲内に切り詰める必要がある、としています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「緑化樹木の移植技術」(鉢の形状・林試移植法の技術ポイント、剥皮・枝抜きのポイントを含む)」/確認日 2026-10-27)。遠くの新居に移すなら、運ぶために枝を詰めた姿で届くことを前提に考えます。
植えた後、少なくとも2年は見守る
日本緑化センターの資料(フランスの都市樹木の技術書の紹介)は、既存の樹木を移植したあと、活着を確実にするために、根鉢の周囲の水鉢に十分に灌水すること、残された根とのバランスをとるために樹冠を詰める剪定が効果的であること、少なくとも2年間は活着が順調に進んでいるか定期的に確認し、天候に合わせて灌水量を調節することを挙げています(出典:一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「移植技術のワンポイントアドバイス」(ビデオ副読本・平成13年作成)」/確認日 2026-10-27)。
移した先が親族の庭なら、その2年の水やりを誰がするかを先に話しておきます。家族で庭の話を進めるときの考え方は実家の庭じまい|撤去と定期管理のどちらを選ぶかにあります。
鉢植えにしたいとき
大きく育った庭木をそのまま鉢に移す方法について、確かめられる公的資料は見つかりませんでした。鉢で手元に残したいなら、挿し木や接ぎ木で小さな後継の苗を作り、それを鉢で育てるという形が考えられるかを、造園業者や園芸店に相談してください。
移植に助成を出す区がある(世田谷区の例)
東京都世田谷区は、区内に残された樹木を保全するため、建物の新築や増改築等によりやむを得ず樹木を移植する場合に、費用の一部を助成しています(出典:世田谷区(みどり33推進担当部 みどり政策課)「世田谷区「樹木移植助成」/移植助成パンフレット」/確認日 2026-10-27)。
| 項目 | 世田谷区の樹木移植助成 |
|---|---|
| 条件 | 建物の新築や増改築等により、やむを得ず移植する場合 |
| 対象の木 | 地上1.5mの高さの幹周り80cm以上、または高さ10m以上 |
| 対象者 | 対象樹木の所有者 |
| 移植場所 | 区内の樹木を区内に移植するもの(移植のための仮植え場所は区外も可) |
| 助成額 | 移植経費の2分の1。1本あたり10万円(区指定の保存樹木等は50万円)、1敷地あたり50万円(保存樹木等は250万円)が限度(出典:世田谷区(みどり33推進担当部 みどり政策課)「世田谷区「樹木移植助成」/移植助成パンフレット」/確認日 2026-10-27) |
| 手続き | 事前に現地立会いと助成の申請が必要 |
建て替えを伴わない庭じまいだけの移植で当たるかどうかは、このページからは分かりません。区のみどり政策課に確かめてください。
世田谷区は、同じ大きさ(幹周り80cm以上・高さ10m以上)の木を伐るときには区への届出を求め、その案内のなかで、移植する場合は助成制度があると書いています(出典:世田谷区「世田谷区「樹木の伐採届について」」/確認日 2026-10-27)。移植助成のパンフレットも、開発行為や一定の建築物の計画では、可能な限り既存の位置で残し、それが難しい場合は移植を検討し、やむを得ず伐採する場合は代替植栽をするよう求めています(出典:世田谷区(みどり33推進担当部 みどり政策課)「世田谷区「樹木移植助成」/移植助成パンフレット」/確認日 2026-10-27)。
区外の新居に移す場合は対象外
世田谷区の助成は、区内から区内への移植が対象です(出典:世田谷区(みどり33推進担当部 みどり政策課)「世田谷区「樹木移植助成」/移植助成パンフレット」/確認日 2026-10-27)。実家の木を区外の新居に移す場合は当たりません。同じような制度が自分の市区町村にあるかは、緑・公園の担当課で確かめてください。
移すにも手続きが要る木
保存樹木・風致地区・景観重要樹木など、木によっては伐採だけでなく移植にも届出や許可が要る場合があります。たとえば景観法の景観重要樹木は、景観行政団体の長の許可を受けなければ移植もできません(通常の管理行為などは除く)(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「景観法 第28条・第31条」/確認日 2026-10-27)。指定のときに当時の所有者の意見を聴くと定められていますが、相続した木なら、指定の有無を区市町村の担当課で確かめてください。伐採のときに届出・許可が要る4つの制度(保存樹木・緑の条例・風致地区・森林法)は庭木の伐採に届出・許可が要る場合で整理しています。
後継の苗を残す(挿し木・接ぎ木)
森林総合研究所林木育種センターは、天然記念物や巨樹・名木などが高齢等で衰弱している場合に、さし木やつぎ木等の方法で、全く同じ遺伝子を受け継いだ後継クローン苗木を増殖し、所有者へ「里帰り」させる取組(林木遺伝子銀行110番)を行っています。ただし、樹種や樹齢等によっては、さし木やつぎ木等による増殖ができない場合もある、としています(出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センター「森林総合研究所 林木育種センター「林木遺伝子銀行110番 - 巨樹・名木等の遺伝資源のクローンを増殖する取組-」」/確認日 2026-10-27)。
この取組の対象は、天然記念物・森の巨人たち百選やこれらに類するもので、後継樹の増殖の緊急性が高いもの、とされています(出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センター「森林総合研究所 林木育種センター「林木遺伝子銀行110番 - 巨樹・名木等の遺伝資源のクローンを増殖する取組-」」/確認日 2026-10-27)。一般の庭木の後継づくりを頼む窓口とは言いにくいでしょう。それでも、挿し木・接ぎ木で「同じ木」を残すという考え方は、庭木にも当てはまります。親の木を伐る前に枝を取れるか、その樹種で挿し木・接ぎ木ができるかを、造園業者や園芸店に早めに聞いてください。伐ってしまった後では枝が取れないので、順番は「枝を取る→伐る」です。
業者に聞くこと
移植を頼む前に確認すること
- この木は移植できそうですか。難しいなら、何が理由ですか(大きさ・樹種・根の状態・運び出しの通り道)
- 根回しは必要ですか。必要なら、いつ始めて、移植はいつになりますか
- 移植に向く時期はいつですか。明け渡し・解体の日程に間に合いますか
- 根鉢の大きさと重さはどのくらいですか。運び出しに機械は要りますか
- 道路で運ぶ場合、枝をどこまで詰めますか
- 見積書に、根回し・掘取・運搬・植付・支柱・残土処分が分けて書かれていますか
- 移した後の水やりや手入れは、誰が、いつまでしますか
- 枯れた場合はどうなりますか(植え直し・撤去のみ・対応なし)。その期間はいつまでですか。書面に書いてもらえますか
- この樹種で、挿し木や接ぎ木で後継の苗を作れますか。伐る前に枝を取っておけますか
「枯れたときの扱い」は、必ず書面で
国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、新しく植えた樹木は、引渡しの日から1年(特記がない場合)の間に枯死などがあれば同等以上のものを再植樹する「枯補償」です(天災その他やむを得ない場合を除く)。一方、移植した樹木は「枯損処置」で、期間内に枯死した場合は直ちに伐採・抜根し、良質土で埋め戻し整地する、と定めています。植え直しは含まれていません(出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部「国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」23章3節 植樹(23.3.2〜23.3.6)」/確認日 2026-10-27)。
これは国の公共工事の仕様で、個人の庭の契約が同じとは限りません。ただ、移植は「枯れたら植え直してもらえる」とは限らない工事だということは、頼む前に知っておく価値があります。
見積書の比べ方は庭じまいの見積書チェックにあります。
確認できていないこと
- 庭木の移植の費用の相場(確かめられる一次資料がなく、載せていません)
- 世田谷区以外の市区町村に、樹木の移植への助成があるか(今回確かめたのは世田谷区だけです)
- 大きく育った庭木を鉢植えにして残す方法(確かめられる公的資料が見つかりませんでした)
- 庭木の移植が根づく割合(樹種・大きさ別の数字を示した公的資料は見つかりませんでした)
このあと、どこから読むか
移植をあきらめて伐ることにしたら、費用は庭木の伐採費用と追加料金を確認するポイント、切り株の扱いは抜根・切り株撤去の費用へ。残す木の根が建物や配管に近い場合は庭木の根の影響、庭木・庭石・竹など対象ごとの頼み方は庭じまいの対象別ガイドから辿れます。
よくある質問
移植した木が枯れたら、業者に植え替えてもらえますか
次に読むページ
- 庭木の伐採費用と追加料金を確認するポイント庭木の伐採費用は高さ・幹の太さ・搬出経路・処分量で動きます。高さ3m未満/3〜5m/5m以上で作業の中身がどう変わるか、追加費用が出やすい場所、切った枝の自治体ごとの受け入れ条件、依頼前に確認する質問をまとめました。
- 抜根・切り株撤去の費用と、伐採だけで終える場合の違い伐採は地上部を切る作業、抜根は残った株と根を掘り起こす作業で、見積書でも別の行になります。抜根が要る場合と要らない場合、費用が動く条件、抜いた根の自治体ごとの扱い、依頼前に書面で決めておく範囲を整理しました。相場の金額表はありません。
- 庭木の剪定時期と回数|いつやるか、年に何回必要か庭木の剪定時期をこの月が適期と言い切れる公的資料は見つかりませんでした。見つかるのは街路樹と公共施設のための基準です。そこに何が書いてあり、庭木にそのまま当てはめられない理由は何かを、県と都のマニュアルで確かめます。
- 庭木の根の影響|建物・塀・配管に届く前に確認できること庭木の根の影響を、舗装を持ち上げる仕組み、排水管に入る経路、擁壁や塀の点検項目に根が入っているかどうかで見ます。公的資料が書いていることと、書いていないことを分けて整理しました。境界を越えた根の扱いも条文から確認します。
- 実家の庭じまい|撤去と定期管理のどちらを選ぶか実家の庭じまいで、撤去するか定期管理を続けるかで迷う方へ。二つの違い、10年単位での数え方、親と話すときの分け方、離れていても頼むための確認事項、訪問販売への備えを整理します。
- 庭じまいの見積書チェック:撤去・運搬・処分・整地を比べる庭じまいの見積書を費目ごとに読む手順です。撤去・抜根・重機回送・運搬・処分・整地・諸経費で何を見るか、2社を並べる5つの原則、追加費用の決め方、キャンセルとクーリング・オフ、許可と届出の確かめ方を一次情報だけで整理しました。
- 庭木の伐採に届出・許可が要る場合|保存樹木・風致地区・森林庭木を伐る前に届出や許可が要るのは、保存樹木の指定、市区町村の緑の条例、風致地区、森林法の伐採届に当たるときです。世田谷区・船橋市・福岡市・神戸市の線と条文で、どこに何を確かめるかを整理しました。
確認した情報源(7件)
制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。
- 一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「緑化樹木の移植技術」(鉢の形状・林試移植法の技術ポイント、剥皮・枝抜きのポイントを含む)」
過去に作成した「ビデオ 緑化樹木の移植技術」の資料編をもとにした解説。移植作業を「根回し、掘取、運搬、植栽の大きく4つの工程」に分け、根回しを「樹木を移植する一、二年前」にその周囲を掘って、側根の大きなものと主根とを残し、その他の根を切り、細根を発生させ、移植を容易にするために行うものとする。根回しの作業を「枝抜き → 発生木材処分 → 掘り下げ → 整根 → 鉢巻き → 埋戻し → 残土敷均し → 仮支柱取り付け」とする。根回しを必要とする樹木として、壮年期を過ぎた老木、相当の大木、新根の発生が不良な樹種、貴重樹で安全に活着を望むもの、移植しても活着不良といわれる名木、移植経験の浅い外来樹木、掘り取ったところ根の発育が不良な樹木を挙げる。鉢径の簡易法として「縄で根元を一周し、これを二つに折り、根元に沿って円を描いた範囲を鉢径とします。落葉樹の場合は、根元周の3分の2を半径とする円が鉢径となります。」(参考:造園ハンドブック、日本造園学会編、1978)とする。枝抜きのポイントのページ(https://www.jpgreen.or.jp/kyoukyu_jyouhou/gijyutsu/ishoku/index3.html )は「道路輸送して移植する場合、高さは3.8mが上限なので、広がっている枝はしおりをかけるか、樹種によってはこの範囲内に切り詰める必要があります。」とする。
適用範囲:全国向けの技術解説。2026-10-27 に index.html・index2.html・index3.html を取得して照合。ページに更新日の表示はない。/確認日 2026-10-27
注意:一般財団法人の技術解説で、法令や公的基準ではない。鉢径の簡易法は目安で、実際の鉢の大きさは樹種・根の状態で施工者が決める。家庭で自分で掘ることを勧める資料ではない。
- 一般財団法人 日本緑化センター「日本緑化センター「移植技術のワンポイントアドバイス」(ビデオ副読本・平成13年作成)」
「緑化樹木の移植難易」の表は、9つの文献(日本緑化センター、茨城県、建設省関東地方建設局、造園ハンドブック等)の移植難易の表記を易・中・難の3区分に統一して並べ、移植適期は文献9「造園ハンドブック」(技報堂出版)のみに記載があるのでそれを載せたとする。表の値:ウメ(根系 浅)文献1〜9すべて易・適期11-3。ソメイヨシノ(浅)中・中・易・中・中・中(文献1・2・3・5・6・7)・適期10-11,2-3。イロハモミジ(深)易・易・中・易・易・中・適期10-12,2-3。キンモクセイ(深)易・中・中・中・易・中・適期5-7,9-10。クロマツ(深)文献1・2・3・5・6・7・8すべて中・適期6-11,2-4。タイサンボク(深)文献1〜9すべて難・適期5。「樹木の大きさは、移植後の根の再生と頭頂部の成長に関係する」(Gary Watson, Journal of Arboriculture 1985 の紹介)は、胸高直径4インチ(約10cm)以上の樹木の移植後の生育が遅く、成長が数年停滞することもしばしば起こるとし、1〜3インチ(約2.5〜7.5cm)の樹木は同時期に植えても大きいものが元気を取り戻す前に追いつくか追い越すこともよくあるとする。「既存樹木の移植」(L arbre dans la ville の紹介)は、活着を確実にするために、移植後にワイヤーの固定を点検し、根鉢の周囲の水鉢に十分灌水し、残された根系とのバランスをとるために樹冠を詰める剪定が効果的で、「少なくとも2年間は活着が順調に進んでいるか定期的に確認し、天候に合わせて灌水量を調節する」とする。
適用範囲:平成13年に作成したビデオ副読本のPDF(画像のPDFのため、2026-10-27 にページを画像に変換して目視で照合)。掲載ページ https://www.jpgreen.or.jp/kyoukyu_jyouhou/gijyutsu/ishoku/index5.html 。/確認日 2026-10-27
注意:作成から20年以上たつ資料で、難易は既存文献の表記の寄せ集め、適期は1文献だけの記載。地域差・その年の天候・木の大きさは反映していない。海外の論文・技術書の紹介部分は日本の庭木で検証されたものではない。表の数値は画像から読み取ったもので、引用するときは原本の表で確かめる。
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」23章3節 植樹(23.3.2〜23.3.6)」
23.3.1は、この節を樹木の新植及び移植工事に適用するとする。23.3.2(1)は、樹木は発育良好で「あらかじめ根回し又はコンテナ栽培 (容器栽培) をした細根の多い栽培品とする」とする。23.3.4(新植樹木の枯補償)は、期間は特記によるが特記がなければ引渡しの日から1年とし、期間内に樹木が枯死、枝損傷、形姿不良等となった場合は同等以上のものを再植樹するとともに取り除いた樹木の処分を行う(天災その他やむを得ないと認められる場合を除く)とする。23.3.5(樹木の移植)は、(1)移植は掘取りに先立ち樹種に応じて枝抜きや摘葉を行い仮支柱を取り付けるなど適切な養生を行う、(2)根鉢は樹木の特性に応じ適切な大きさに掘り出し、太い根のある場合は根鉢よりやや長目に切り取り、細根の密生している部分は残すように努める、(3)根鉢はわら縄・こも等で堅固に根巻きを行う、(4)枝幹の損傷、鉢崩れ及び乾燥がないよう保護養生の後、直ちに移植場所に運搬する、とする。23.3.6(移植樹木の枯損処置)は、期間は特記がなければ引渡しの日から1年とし、期間内に樹木が枯死した場合は直ちに伐採及び抜根を行い、良質土で埋め戻し整地するとする。
適用範囲:国の官庁施設の建築工事の標準仕様(令和7年版)。2026-10-27 に PDF を取得して23章3節を照合(掲載ページ https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html )。/確認日 2026-10-27
注意:国の公共建築工事の発注者と受注者の間の仕様で、個人が庭木の移植を頼むときの契約を決めるものではない。移植樹木の「枯損処置」に再植樹が含まれないことは公共工事の仕様の書き方で、民間の契約がこれと同じとは限らない。
- 世田谷区(みどり33推進担当部 みどり政策課)「世田谷区「樹木移植助成」/移植助成パンフレット」
区内に残された貴重な樹木を保全するため、建物の新築や増改築等により、やむを得ず樹木を移植する場合、その費用の一部を助成するとする。対象樹木は地上1.5メートルの高さにおける幹周り80センチメートル以上の樹木又は高さ10メートル以上の樹木、助成対象者は対象樹木の所有者(国・その他地方公共団体・区長が指定する公共的団体を除く。マンション事業者等で対象樹木所有者であれば対象)、移植場所は「世田谷区内に現存する樹木を区内に移植するもの」(移植のための仮植え場所は区外も可)、助成金額は移植経費の2分の1で、1本当たりの限度額は区指定の保存樹木等1本50万円・その他の樹木1本10万円、1敷地当たりの限度額は50万円(保存樹木等250万円)。事前に現地立会い及び助成に関する申請が必要とする(最終更新日2025年7月3日)。パンフレット(https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/4707/17179_1.pdf )の「既存樹木の保全のお願い」は、対象の樹木について、可能な限り既存の位置で樹木を残すこと、既存の位置で残すことが困難な場合は移植を検討すること(移植助成制度がある)、やむを得ず伐採する場合は代替植栽をすること(伐採樹木1本につき樹高3m以上の高木1本以上)を求め、樹木を伐採する場合は東京都風致地区条例の許可申請、風景づくり条例の届出、みどりの基本条例の届出が必要な場合があるとする。
適用範囲:世田谷区。2026-10-27 にページとパンフレットPDFを取得して照合。/確認日 2026-10-27
注意:世田谷区だけの制度。区外への移植は対象外。「建物の新築や増改築等により、やむを得ず」という条件があり、詳しい条件は区に問い合わせるよう書かれている。
- 世田谷区「世田谷区「樹木の伐採届について」」
「地上1.5mの高さにおける幹周り80cm以上の樹木の伐採行為」と「高さ10m以上の樹木の伐採行為」について、所有者は「みどりの基本条例」に基づき届出が必要とする。届出対象とならないものとして、他のみどりの保育のための除伐、事業として行う農業・林業・造園業等の伐採、「枯損した樹木又は危険な樹木の伐採」、非常災害のための応急措置、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区の許可、東京都風致地区条例の許可、みどりの基本条例に基づく保存樹木等の届出・特別保護区の許可を受けた伐採などを挙げる(=それぞれ別の手続きがあることを示す)。届出は樹木を伐採する前に、届出地を担当する総合支所の街づくり課へ。世田谷区風景づくり条例に基づく木竹の伐採の届出は別に必要な場合があるとする。移植する場合は助成制度があるとする。
適用範囲:世田谷区だけ。2026-10-27 に PDF を取得して本文を照合。/確認日 2026-10-27
注意:指定された保存樹木でなくても、大きさで届出の対象になるという世田谷区の仕組み。他の区市町村に同じ線があるとは限らない。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「景観法 第28条・第31条」
第28条は、景観行政団体の長が景観計画区域内の良好な景観の形成に重要な樹木を景観重要樹木として指定でき、指定しようとするときはあらかじめ所有者の意見を聴かなければならないとする。第31条第1項は「何人も、景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要樹木の伐採又は移植をしてはならない」とし、通常の管理行為、軽易な行為その他の政令で定める行為と非常災害のための応急措置は除くとする。
適用範囲:全国。2026-10-27 に e-Gov法令API(法令ID 416AC0000000110)で取得して照合。/確認日 2026-10-27
注意:景観重要樹木に指定されている木はごく一部。指定は所有者の意見を聴いて行われるので、所有者が知らないまま指定されている形ではない。
- 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センター「森林総合研究所 林木育種センター「林木遺伝子銀行110番 - 巨樹・名木等の遺伝資源のクローンを増殖する取組-」」
天然記念物や巨樹、名木等の樹木を対象に後継樹を増殖する「林木遺伝子銀行110番」を開設しているとし、機関や個人等が所有する天然記念物や巨樹、名木、有名木等の樹木が高齢等で衰弱している場合などで、全く同じ遺伝子を受け継いだ後継クローン苗木の増殖要請があった場合に、さし木やつぎ木等の方法により後継クローンを増殖し、増殖したクローン苗木は所有者へ里帰りさせるとする。増殖対象は、林木遺伝資源として保存する価値を有していると考えられるもの(天然記念物、森の巨人たち百選、これらに類するもの)で、かつ高齢等の理由による衰弱が見られるなど後継樹の増殖の緊急性が高いと判断されるもの。「樹種や樹齢等によっては、さし木やつぎ木等による増殖ができない場合もあります。」とする。ページの更新日は2026年1月27日。
適用範囲:全国。2026-10-27 にページを取得して照合。/確認日 2026-10-27
注意:対象は天然記念物級の木に限られ、一般の庭木の後継苗づくりを引き受ける窓口ではない。



