庭の境界がわからないとき、先に壊してはいけないもの
庭の境界がわからないまま塀や垣根をつくる・撤去する場面は、法務省自身が境界トラブルの例に挙げています。筆界と所有権界の違い、境界標を動かすことの扱い、筆界特定制度がすることとしないことを、条文と官公庁の記述だけで整理しました。
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庭を片付ける段階でいちばん戻せないのは、境界の手がかりを先に壊してしまうことです。費用も手間もかからない話なので、工事の前に一度だけ確認しておく価値があります。
このページの結論
境界がはっきりしないなら、古い塀・垣根・杭・石を撤去する前に、位置を記録に残す。 不動産登記法143条1項は、筆界特定登記官が考慮する事情として「工作物、囲障又は境界標の有無その他の状況及びこれらの設置の経緯」を挙げています。あとで筆界を明らかにする手続でも、いま庭にあるものが判断材料になります。
「塀や垣根をつくろうとしたとき」は、法務省がトラブル例に挙げている場面
法務省の「土地の境界を明確にしてトラブルを防ぎましょう」は、冒頭にこう書いています。
家を建て替えたり,あるいは新しく塀や垣根をつくろうとしたときに,土地の境界がはっきりせず, 隣近所の方と争いになることがあります
境界が失われる原因として挙げられているのも、実家の庭の話そのものです。
(出典:法務省「土地の境界を明確にしてトラブルを防ぎましょう(境界標の役割と重要性)」/確認日 2026-09-29)土地の境界を特定するための手段としては,塀や垣根の設置があります。しかし,相続で代替りしたり,大規模な宅地造成が行われたりしたために,その目印がなくなり,境界が失われてしまう場合があります。
同じページには、事例が1件載っています。板塀を取り壊してそのままにしていたところ、隣が垣根をつくり、越境が疑われたという話です。結びはこうです。
板塀を取り壊す前に境界石を入れておけばこんなことにはならなかったのにと悔やんでいます
これは1件の事例紹介で、統計ではありません。 ただ、順番の話としては読めます。
庭にある杭・石は、境界標なのか
法務省は、境界を明確にする方法として境界標の設置(埋設)を挙げつつ、木杭についてこう書いています。
測量の際には通常木杭が打ち込まれますが,これはあくまで仮のもので,何年か経つと腐ってしまったり,動いてしまったりします
さらに、設置したあとについても書いています。
境界標を設置したからといって,それで安心してはいけません。ときどき自分の目で確認するなど,管理にも心配りをしてください
見分け方は書かれていない
法務省のページは境界石・コンクリート標・金属鋲といった種類を挙げていますが、現地で「これは境界標か」を判別するための基準は書かれていません。
判断が付かないものは、抜かない・動かさない・埋めないのが安全側です。
動かす・抜くという行為を、条文はどう扱っているか
刑法262条の2(境界損壊)は、こう定めています。
(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「刑法 第262条の2(境界損壊)」/確認日 2026-09-29)境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する
条文の要件は「土地の境界を認識することができないようにした」ことです。「杭を抜いたら罪になる」という単純な条文ではありません。 条文は「移動」「除去」「その他の方法」も並べているので、抜かずに埋めたり動かしたりした場合も入りえます。どの行為がこれに当たるかの具体例は、条文には書かれていません。
境界線上にあるものは、誰のものと推定されるか
民法229条は、こう定めています。
境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
ただし、すぐ次の230条1項に例外があります。
(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「民法 第209条・第223条〜第230条・第234条」/確認日 2026-09-29)一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない。
条文が挙げているのは「囲障」で、生垣ではない
229条が列挙しているのは「境界標、囲障、障壁、溝及び堀」です。生垣が「囲障」に当たるかどうかは条文に書かれていません(当てはめは解釈の領域です)。
条文からはっきり言えるのは、境界線上の塀・溝・堀については共有と推定される規定がある、という点までです。境界線上にある塀・溝・堀については、自分だけの判断で処分できる前提で進めないことです。
塀そのものの撤去については、別ページで扱っています。
→ ブロック塀を撤去するときに確認すること → 生垣をフェンスに替えるかどうか
塀(囲障)については、条文に材料と高さの定めがある
距離のルールはありませんが、囲障には別の定めがあります。民法225条1項は、二棟の建物の所有者が異なり間に空地があるとき、共同の費用で境界に囲障を設けられるとし、2項でこう定めています。
当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
費用は226条で相隣者が等しい割合の負担、良好な材料や高さを増す場合はその増加額を負担(227条)。そして228条にこうあります。
前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
距離を定めた条文は見つかりませんでした
民法234条1項の「境界線から五十センチメートル以上」は「建物を築造するには」という規定です。塀・フェンス・花壇について距離を定めた条文は、見つかりませんでした。
なお234条2項は、違反して建築しようとする者に対して隣地所有者が建築の中止・変更を求められること、着手から1年経過または建物完成後は損害賠償請求のみになることを定めています。これは建物についての規定で、塀・フェンスの話ではありません。
隣地に入って測る必要があるとき
民法209条1項は、隣地を使用できる目的を3つ挙げています。庭の片付けに直接効くのは一号です。
民法209条1項が挙げる目的
- 一号 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
- 二号 境界標の調査又は境界に関する測量
- 三号 第233条第3項の規定による枝の切取り
古い塀や工作物を撤去する(収去する)ために隣地を使う場面は、一号にあたります。ただし、条件が4つ付いています。
- 1項ただし書: 「住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。」
- 2項: 日時・場所・方法は「隣地の所有者及び隣地を現に使用している者…のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。」
- 3項: 「あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を…通知しなければならない」(あらかじめの通知が困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく通知すればよい)
- 4項: 損害を受けた場合の償金請求
209条は「隣地を使用することができる」場合を定めた規定です。工事の前に境界を確認する義務を課した条文ではありません。
境界標そのものについては、民法223条が「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」と定め、224条が「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。」と定めています。設置費用と測量費用で分担のルールが違います。
登記されていても、位置が正確とは限らない
「登記があるから位置も分かっているはず」とはなりません。国土交通省の地籍調査Webサイトは、こう書いています。
全国の登記所に備え付けられている図面のうち、正確な測量に基づき作成された地図(※)は、全体の半数程度であり、残りは、明治時代に作成された旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)が大部分を占めています。
(出典:国土交通省「登記所備付地図の現状(地籍調査Webサイト)」/確認日 2026-09-29)このように、土地が登記されているからといって、必ずしもその土地がどこにあるのか、正確な情報が登記所で記録されているとは限りません。
「半数程度」は全国集計の概数です。全国の集計からは、自分の土地がどちらなのかは分かりません。
自分の土地が地籍調査済みかを確かめる方法は、公表されている
地籍調査Webサイトの「よくあるご質問」Q1に、3つの方法が書かれています。
Q1「自分の家の周りが地籍調査が行われているのか知りたい。」への回答
- 「地籍調査状況マップ で、お住まいの市町村で地籍調査が行われているのか、自宅周辺で地籍調査が行われているのかについて確認してみてください。」
- 「また、お住まいの市町村の地籍調査の窓口に、地籍調査の実施状況についてお問い合わせください。」
- 「その他、登記所に備え付けられている図面を見ることで、地籍調査が行われたかどうかを調べることもできます。通常、地籍調査が実施された場合には、登記所に備え付けられている地図・図面が正確なもの(不動産登記法第14条第1項の地図)となっており、地図の種類として「地籍図」(地籍調査による成果図)と記載されています。」
同じQ&AのQ4は、地籍調査の費用負担についてこう書いています。「事業に要する経費は市町村、都道府県、国が負担しており、地元住民の方に個別に負担を求めることはありません。」
これは地籍調査の経費についての説明で、境界確認や測量を自分で土地家屋調査士に依頼する場合の費用の話ではありません。
全国の集計は、個別の土地の話ではない
国土交通省は、令和7年度末時点(令和8年6月調べ)の進捗率を、全国の地籍調査対象地域で53%、優先実施地域で81%と公表しています。調査未着手の市町村が全体の5%、休止中が12%で、「全体の約2割の市町村では、地籍調査が行われていません。」
(出典:国土交通省「全国の地籍調査の実施状況(地籍調査Webサイト)」/確認日 2026-09-29)これは面積ベースの全国集計で、「自分の土地が調査済みか」を意味しません。 個別の確認は、上のQ1の3つの方法でしか分かりません。
それでも筆界が分からないとき
境界の話には、性質の違う2つの線があります。法務局の説明をそのまま並べます。
| 筆界 | 所有権界 | |
|---|---|---|
| 何を示す線か | 土地の区画を示す線(公法上の境界) | 所有権の範囲を示す線(私法上の境界) |
| 合意で変えられるか | 「所有者間の合意などによって変更することはできません」 | 「所有者間の合意などによって,変更することができる」 |
| 変更の方法 | 「分筆や合筆等の登記によらなければ,筆界は変更することができない」 | — |
関係は、法務局の原文のとおり「筆界は,所有権界と一致することが多いですが,一致しないこともあります」です。ずれる場面として挙げられているのは、「土地の一部の売買や贈与,時効による取得などの後,分筆の登記がされていない」といった事情です。
条文上の筆界は、点と直線で定義されています。不動産登記法123条1号は、筆界を「当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線」としています。
筆界特定制度が「する」ことと「しない」こと
法務省は、筆界特定制度を「土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて,筆界特定登記官が,外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて,現地における土地の筆界の位置を特定する制度」と説明しています。
しないこと(法務局・注意事項2/法務省・ポイント)
筆界特定は,土地の所有権界がどこにあるのかを特定することを目的とするものではありません(法務局)
筆界特定制度は,土地の所有権がどこまであるのかを特定するものではありません(法務省)
さらに、新たに筆界を決めるのではなく、もともとあった筆界を明らかにするものだとされています。
手続と、そのあとに残るもの
手続は、申請→公告・関係人への通知→資料収集・実地調査→対象土地の測量→意見聴取等の期日→筆界特定→通知・公告 の順です。「関係人(筆界で接する隣地所有者)に対して通知されます」とあるので、隣地所有者に知られずに進む手続ではありません。
筆界調査委員は「弁護士,司法書士,土地家屋調査士等の…中から,法務局または地方法務局の長が任命します。」
(出典:法務局(法務省)「筆界特定手続の流れ」/確認日 2026-09-29)申請できるのは「土地の所有者として登記されている人やその相続人など」で、申請先は対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官です。
そのあとに残るもの
法務局の注意事項3: 「特定された筆界に不服があるときは,筆界(境界)確定訴訟を提起することができます」
不動産登記法148条: 筆界確定訴訟の判決が確定したとき「当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う」
不動産登記法123条2号: 筆界特定とは「筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)」
つまり、筆界特定は最終決着ではなく、1本の線が出ないこともある——と条文に書かれています。制度の特色について法務局は「行政手続であり,一般に,裁判よりも迅速に処理され,費用負担も少なくてすみます。」と書いています(期間の数字はどちらのページにもありません)。
費用は条件つきの例だけが公表されている
法務局が示している手数料の例は、条件付きです。
申請人の土地とその隣の土地の価格の合計額が4,000万円である場合には,申請手数料は,8,000円になります
手数料は「土地の固定資産税課税台帳に登録された価格によって決まります」とされ、算定方法は登記手数料令8条に規定されています。
測量費用については、資料の言い方が食い違います。法務省のA8は「測量が必要となることがあります」、法務局のA8は「測量等の費用が必要となります」、手続の流れは「測量費用の概算額の予納がないときは,申請が却下されます。」測量費用が必ずかかるのかどうかは、公表されている資料だけでは一方に決まりません。予納が必要かどうかは、申請先の法務局で確かめてください。
境界標の設置費用・測量費用・土地家屋調査士への依頼費用の額は、法務省・法務局のどのページにも書かれていません。
工事の前に確認しておくこと
業者に確認したいこと
- 庭の中と境界沿いに、杭・コンクリート標・金属鋲・境界石がないか一周して見る
- 見つけたものは、撤去も移動もせず、写真と位置(何からどれだけ離れているか)を記録する
- 古い塀・垣根・溝が境界線上にないか。ある場合、撤去を工事に含める前に位置を記録する
- 登記所の図面を見て、地図の種類が「地籍図」になっているか確認する
- 地籍調査状況マップ、または市町村の地籍調査の窓口で、自宅周辺の実施状況を確認する
- 境界に不安がある場合、土地家屋調査士に相談するかどうかを決める(法務省が相談先として挙げているのはこの職種)
公的資料だけでは分からないこと
- 自分の庭の杭や石が境界標かどうか(見分ける基準は公的資料に書かれていません)
- 境界が不明なまま塀やフェンスをつくった場合に、後から撤去を求められるか、費用は誰が負担するか(塀・フェンスの撤去や費用負担について定めた条文・公的な説明は見つかりませんでした)
- 所有権界を確定する公的手続が何か(法務局は筆界特定がその目的ではないと明記していますが、では何によるのかを示した記述は見つかりませんでした)
- 筆界特定の申請後に隣地所有者が反対・非協力だった場合の扱い(手続の流れには通知と意見を述べる機会の記載があるだけです)
個別の土地の判断は、資料を読むだけではできません。上のチェックリストのうち「壊す前に記録する」だけは、誰でも今日できて、あとから取り返しがつく数少ない工程です。
よくある質問
庭の工事の前に、境界を確認する法律上の義務はありますか
「筆界」と「所有権界」は何が違うのですか
庭にある木の杭は境界の目印になりますか
境界の杭を抜いたり動かしたりすると罪になりますか
筆界特定制度を使えば、隣との境界争いは終わりますか
確認した情報源
制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。
- 法務省「土地の境界を明確にしてトラブルを防ぎましょう(境界標の役割と重要性)」
冒頭に「家を建て替えたり,あるいは新しく塀や垣根をつくろうとしたときに,土地の境界がはっきりせず, 隣近所の方と争いになることがあります」とある。境界が失われる原因として「土地の境界を特定するための手段としては,塀や垣根の設置があります。しかし,相続で代替りしたり,大規模な宅地造成が行われたりしたために,その目印がなくなり,境界が失われてしまう場合があります。」を挙げる。「土地の境界を明確にするためには,境界標の設置(埋設)が最もよい方法です」「測量の際には通常木杭が打ち込まれますが,これはあくまで仮のもので,何年か経つと腐ってしまったり,動いてしまったりします」「境界標を設置したからといって,それで安心してはいけません。ときどき自分の目で確認するなど,管理にも心配りをしてください」。板塀を取り壊してそのままにしていたところ隣が垣根をつくり越境が疑われた事例が1件あり、「板塀を取り壊す前に境界石を入れておけばこんなことにはならなかったのにと悔やんでいます」と結ばれている。相談先は「登記に関する調査・測量の専門家である土地家屋調査士に相談・依頼するのがよいでしょう」。
適用範囲:一般の土地所有者向けの案内。/確認日 2026-09-29
注意:このページに金額の記載は一切ないので、費用には触れずに引用する。掲載されている越境の例は1件の事例紹介で、統計ではない。庭にある木杭を境界の根拠として扱えるとは書かれていない。www.moj.go.jp は User-Agent を付けないリクエストに403(cloudfront)を返すため、再検証時はUAを付ける。
- 法務局(法務省)「ワンポイント 所有境界とは?(「筆界」と「所有権界」)」
「土地の境界には,「筆界」と「所有権界」とがあります」と明示し、筆界を「土地の区画を示す線(公法上の境界)」、所有権界を「所有権の範囲を示す線(私法上の境界)」と表で対比する。筆界は「所有者間の合意などによって変更することはできません」「分筆や合筆等の登記によらなければ,筆界は変更することができない」、所有権界は「所有者間の合意などによって,変更することができる」。関係は「筆界は,所有権界と一致することが多いですが,一致しないこともあります」。ずれる場面として「土地の一部の売買や贈与,時効による取得などの後,分筆の登記がされていないなどの特別な事情がなければ,「筆界」と「所有権界」は一致しています」。
適用範囲:筆界特定制度の説明ページの一部。/確認日 2026-09-29
注意:「一致することが多い/一致しないこともあります」という原文の語をそのまま使う。どちらか一方に寄せて断定できない。houmukyoku.moj.go.jp は User-Agent を付けないリクエストに403を返す。
- 法務局(法務省)「筆界特定制度 制度のあらまし(注意事項1〜3)」
筆界特定は新たに筆界を決めるのではなく、もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにするものだとする。注意事項2に「筆界特定は,土地の所有権界がどこにあるのかを特定することを目的とするものではありません」。注意事項3に「特定された筆界に不服があるときは,筆界(境界)確定訴訟を提起することができます」。
適用範囲:筆界特定制度の注意事項。/確認日 2026-09-29
注意:User-Agent を付けないリクエストには403が返る。
- 法務局(法務省)「筆界特定手続の流れ」
手続は 申請→公告・関係人への通知→資料収集・実地調査→対象土地の測量→意見聴取等の期日→筆界特定→通知・公告 の順で、「関係人(筆界で接する隣地所有者)に対して通知されます」とある。測量について「測量費用の概算額を申請人が予納します」「(測量費用の概算額の予納がないときは,申請が却下されます。)」。「※筆界調査委員は,弁護士,司法書士,土地家屋調査士等の…中から,法務局または地方法務局の長が任命します。」
適用範囲:筆界特定の手続の流れ。/確認日 2026-09-29
注意:隣地所有者に知られずに進む手続ではない。 筆界調査委員に弁護士・司法書士を含む列挙が載っているのはこのページで、法務局のQ&A(Q3)は「外部専門家である筆界調査委員(土地家屋調査士等)」としか書いていない。User-Agent を付けないリクエストには403が返る。
- 法務局(法務省)「筆界特定制度に関するQ&A(制度関係 Q1〜Q4/申請を検討されている方 Q5〜Q10)」
申請できるのは「土地の所有者として登記されている人やその相続人など」で、申請先は「対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官」。申請手数料は「土地の固定資産税課税台帳に登録された価格によって決まります」とし、条件つきの例として「申請人の土地とその隣の土地の価格の合計額が4,000万円である場合には,申請手数料は,8,000円になります」(算定方法は登記手数料令8条)。手数料以外は「測量等の費用が必要となります」とだけ書かれ、額は示されていない。制度の特色(Q&A制度関係 Q4・https://houmukyoku.moj.go.jp/homu2/static/hikkaiQA1_4.html )は「行政手続であり,一般に,裁判よりも迅速に処理され,費用負担も少なくてすみます。」
適用範囲:筆界特定制度のQ&A。/確認日 2026-09-29
注意:手数料の例を引くときは「価格の合計額が4,000万円である場合には」という条件を必ず一緒に書く。測量費用の言い方は資料で食い違う——法務省のA8は「測量が必要となることがあります」、法務局のA8は「測量等の費用が必要となります」、手続の流れは予納がないと却下。「必ずかかる」と断定できない。 Q9・Q10はいずれも「分筆登記の申請の際に隣接地の所有者の筆界確認が必要となる場合において」という条件付きで、庭の工事の場面の話ではない。User-Agent を付けないリクエストには403が返る。
- 法務省「筆界特定制度」
筆界特定制度とは「土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて,筆界特定登記官が,外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて,現地における土地の筆界の位置を特定する制度」。「筆界」とは「土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線」であり、所有権の範囲を画する線という意味での「境界」とは異なる(一致することが多いが一致しないこともある)。申請できるのは「土地の所有者として登記されている人やその相続人など」で、対象となる土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の筆界特定登記官に申請する。筆界調査委員が実地調査や測量などの調査を行った上で筆界に関する意見を提出し、登記官がその意見を踏まえて筆界を特定する。申請手数料は土地の価格によって決まり、測量が必要になった場合は測量費用を負担する必要が生じる。「筆界特定の結果に納得することができないときは,後から裁判で争うこともできます」。
適用範囲:全国。法務省の制度解説ページ。管轄は土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局。/確認日 2026-09-24
注意:このページには、筆界特定によって塀などの越境物の撤去まで強制されるかどうかの記載は無かった。したがって「筆界特定すれば隣の塀を撤去させられる」と書かない。手数料の具体額は「土地の価格によって決まります」としか書かれておらず、金額を創作しない。測量費用が別途かかり得る点は落とさない。筆界(登記上の線)と所有権界(権利の及ぶ範囲)が別物である点を必ず区別して書く。/2026-09-29に再確認した追記:【ポイント】に「筆界特定制度は,土地の所有権がどこまであるのかを特定するものではありません。」が明記されている。また同ページのA4は「筆界特定制度を活用することにより,裁判よりも迅速にトラブルを解決することができ,費用負担も少なくてすみます。」と書き「一般に」が付かないが、法務局のA4は「行政手続であり,一般に,裁判よりも迅速に処理され」と書く。同じ制度について官公庁2ページで語調が違うため、当サイトは弱い方(法務局版)を引く。A8は「手続の中で,測量が必要となることがあります。」で、法務局版の「測量等の費用が必要となります。」より弱い。期間(月数・平均処理期間)はどちらにも書かれていない。Q9・Q10は「分筆登記の申請の際に…」という条件付きの話で、庭の工事の場面ではない。www.moj.go.jp は User-Agent を付けないリクエストに403(cloudfront)を返す。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「民法 第209条・第223条〜第230条・第234条」
209条1項は「土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。」とし、一号「境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕」、二号「境界標の調査又は境界に関する測量」、三号「第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り」を挙げる。2項は日時・場所・方法を「隣地の所有者及び隣地を現に使用している者…のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」、3項は「あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を…通知しなければならない」(あらかじめの通知が困難なときは使用開始後遅滞なく)、4項は償金請求を定める。223条「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」224条「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。」225条1項は二棟の建物の間に空地があるとき共同の費用で囲障を設けられるとし、2項は「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。」226条は囲障の設置・保存費用を相隣者が等しく負担、227条は良好な材料・高さ増しの増加額負担、228条「前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」229条「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。」230条1項「一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない。」234条1項「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。」2項は違反時に建築の中止・変更を求められること、着手から1年経過または完成後は損害賠償請求のみとなることを定める。
適用範囲:全国。2026-09-29 に e-Gov法令データ(法令ID 129AC0000000089)から取得して照合した現行版。/確認日 2026-09-29
注意:209条は「隣地を使用することができる」場合を定めた規定で、工事の前に境界を確認する義務を課した条文ではない。 234条の「五十センチメートル」は「建物を築造するには」であって、塀・フェンス・花壇の距離を定めたものではない。塀・フェンス・花壇の距離を定めた条文は確認できていない。 229条の共有推定には230条1項の例外があるので、229条だけを引くと常に共有推定が働くと読める。228条により、囲障の規定と異なる慣習があるときはその慣習に従う。e-Govの人が読めるURLはJavaScriptで描画されるため、条文本文の確認には法令データの取得が必要。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「不動産登記法 第123条・第143条・第148条」
123条1号は筆界を「表題登記がある一筆の土地…とこれに隣接する他の土地…との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。」と定義する。123条2号は筆界特定を「筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)」と定義する。143条1項は筆界特定登記官が「登記記録、地図又は地図に準ずる図面及び登記簿の附属書類の内容、対象土地及び関係土地の地形、地目、面積及び形状並びに工作物、囲障又は境界標の有無その他の状況及びこれらの設置の経緯その他の事情を総合的に考慮して」筆界特定をすると定める。148条は「筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。」
適用範囲:全国。2026-09-29 に e-Gov法令データ(法令ID 416AC0000000123)から取得して照合した現行版。/確認日 2026-09-29
注意:筆界特定に所有権を決める効力があるとは条文のどこにも書かれていない。 148条により筆界特定は最終決着ではない。123条2号の括弧書きにより、位置が1本の線で出ないことがある。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「刑法 第262条の2(境界損壊)」
「境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」。
適用範囲:全国。2026-09-29 に e-Gov法令データ(法令ID 140AC0000000045)から取得して照合した現行版。/確認日 2026-09-29
注意:条文の要件は「土地の境界を認識することができないようにした」ことなので、要件を省略して「杭を抜いたら罪になる」と書いてはいけない。当サイトは判例・裁判例を確認していないため、どういう場合にこの要件を満たすかは書けない。
- 国土交通省「登記所備付地図の現状(地籍調査Webサイト)」
「しかしながら、登記所に備え付けられている土地の位置を示す図面は、必ずしも正確なものではありません。」「全国の登記所に備え付けられている図面のうち、正確な測量に基づき作成された地図(※)は、全体の半数程度であり、残りは、明治時代に作成された旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)が大部分を占めています。」「「旧土地台帳附属地図(公図)」は、明治時代の地租改正時に作成された図面が基となっているものであり、現況とは大きく異なっていることもあります。こうした地域では、土地の境界や位置が必ずしも明らかではありません。」「このように、土地が登記されているからといって、必ずしもその土地がどこにあるのか、正確な情報が登記所で記録されているとは限りません。」
適用範囲:全国の登記所備付地図の状況。/確認日 2026-09-29
注意:「半数程度」は全国集計の概数で、自分の土地がどちらなのかはこのページからは分からない(登記所で確認する必要がある)。公図がある地域で必ず境界が不明とも書かれていない——書かれているのは「土地の境界や位置が必ずしも明らかではありません」まで。集計の基準時点がページ上に明示されていない。
- 国土交通省「全国の地籍調査の実施状況(地籍調査Webサイト)」
「令和7年度末時点における地籍調査の進捗率は53%、優先実施地域(※)に限定すると81%となっています。地帯別にみると、都市部(DID:人口集中地区)及び山村部(林地)で地籍調査の進捗が遅れており」「現在、多くの市町村で地籍調査は実施されていますが、その一方でいまだに調査未着手の市町村も全体の5%あります。また、過去には地籍調査を実施していたものの、現在は様々な理由から調査を休止している市町村も12%あり、全体の約2割の市町村では、地籍調査が行われていません。」「※数値はいずれも、令和7年度末時点。(令和8年6月調べ)」市区町村別進捗率一覧のCSVへのリンクがある。
適用範囲:全国集計(面積ベース)。/確認日 2026-09-29
注意:53%は面積ベースの全国集計で、「自分の土地が調査済みか」を意味しない。「優先実施地域」には定義があるので、定義を外して81%だけを引用してはいけない。同じページに「登記所備付地図作成作業の実績を…合算すると3,872㎢となり、進捗率は30%となる」という別立ての数字もあり、どの母集団の数字かを取り違えやすい。国土交通省の報道発表(令和7年6月27日付)は令和6年度末時点として同じ53%/81%を公表しているので、基準時点を必ず添える。
- 国土交通省「よくあるご質問(地籍調査Webサイト)」
Q1「自分の家の周りが地籍調査が行われているのか知りたい。」への回答として3つの方法が書かれている——「地籍調査状況マップ で、お住まいの市町村で地籍調査が行われているのか、自宅周辺で地籍調査が行われているのかについて確認してみてください。」「また、お住まいの市町村の地籍調査の窓口に、地籍調査の実施状況についてお問い合わせください。」「その他、登記所に備え付けられている図面を見ることで、地籍調査が行われたかどうかを調べることもできます。通常、地籍調査が実施された場合には、登記所に備え付けられている地図・図面が正確なもの(不動産登記法第14条第1項の地図)となっており、地図の種類として「地籍図」(地籍調査による成果図)と記載されています。」Q4は費用負担について「市町村が実施する場合、地籍調査に必要な経費は、国がその半分(1/2)を補助しており、残りを都道府県と市町村が折半(各1/4)しています。…このように、事業に要する経費は市町村、都道府県、国が負担しており、地元住民の方に個別に負担を求めることはありません。」
適用範囲:地籍調査についての一般向けQ&A。/確認日 2026-09-29
注意:Q4の「地元住民の方に個別に負担を求めることはありません」は地籍調査の経費についての説明で、境界確認や測量を自分で土地家屋調査士に依頼する場合の費用の話ではない。混同できない。
