庭じまいの手帖
対象別ガイド(庭木・庭石・竹)

庭木・生垣の道路へのはみ出し|役所は切らない、高さの目安と責任

道路にはみ出した庭木や生垣は、市区町村が代わりに切ってはくれません。自治体が示す「歩道2.5m・車道4.5m」の目安、道路法43条と沿道区域の規定、事故が起きたときの所有者の責任、電線のそばを切るときの連絡先を、自治体と条文の原文で整理しました。

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低木に囲まれた庭の通路

庭木や生垣が道路にはみ出していても、市区町村が代わりに切ってくれることは、原則としてありません。木は土地の持ち主のものだからです。自治体のページに並んでいるのは「切ってください」というお願いと、その目安です。

このページでは、自治体が示している高さの目安、道路法の条文が実際に何を書いているか、事故が起きたときの責任、電線のそばを切るときの順番を、原文に沿って並べます。隣の家との境(民地どうし)の話は隣からはみ出した枝を自分で切ってよいかに分けています。

このページの範囲

  • 扱うのは、自分の庭(または実家の庭)の木や生垣が、公道に張り出している場合です。
  • 高さの数字は、自治体が所有者に示している目安です。条文で私有地の木の高さが決まっているわけではありません。
  • 事故が起きたときに責任を負うかどうかは、条文だけでは決まりません。判例・裁判例は確認していないので、ここでは扱いません。
  • 自治体の案内は2026年10月13日に各ページで確認したものです。

市区町村は、はみ出した枝を切ってくれますか

切ってくれません。複数の自治体が、理由とあわせて同じことを書いています。

生垣も草も、扱いは庭木と同じです。船橋市と青葉区は、生垣を名指しで挙げています。

「緊急時を除き」(鹿児島市)、「原則として」(熊本市)という言葉が付いているとおり、倒木で道路がふさがったときなどは別の動きになります。ただ、ふだんの剪定を役所に頼むことはできない、と考えておいてください。

どの高さまで切ればよいですか

自治体が示している数字は次のとおりです。

場所自治体が示す高さ
車道の上4.5メートル
車道の路端の上3.8メートル(鹿児島市が記載)
歩道の上2.5メートル

鹿児島市は「道路法第30条及び道路構造令第12条では、道路上の安全な通行を確保するため、車道の上空4.5メートル、車道の路端の上空3.8メートル、歩道の上空2.5メートルの範囲に通行の障害となる物を置いてはならないとしています。」と書き、そのうえで所有者には「建築限界を一つの目安として」定期的に確かめるよう求めています(出典:鹿児島市 建設局道路部道路管理課「道路上に張り出している樹木等の剪定・伐採について(お願い)」/確認日 2026-10-13)。熊本市と船橋市も車道4.5メートル・歩道2.5メートルを挙げています(出典:熊本市「道路上に張り出している樹木等の管理について」/確認日 2026-10-13)(出典:千葉県船橋市 道路維持課「道路上に張り出している樹木の枝の剪定について」/確認日 2026-10-13)。

この数字の読み方

「建築限界」は道路を造るときの技術的な基準で、私有地の木の高さを直接決めた条文ではありません。鹿児島市自身が「目安」と書いています。この高さより上なら放っておいてよい、という意味でもありません。

高さだけでは足りない、という注意もあります。

見て回るときは、高さ・カーブミラーや標識の見え方・側溝の上の三つを確かめてください。

道路法は、何を書いていますか

自治体の案内が「関係法令」として挙げているのが道路法43条です。

何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。 二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。

違反には102条の罰則があり、三号で43条違反を挙げて「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」としています(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「道路法 第43条・第44条・第71条・第102条」/確認日 2026-10-13)。

ただし、張り出した枝がこの「行為」に当たると、条文が書いているわけではありません。条文の言葉は「みだりに」「たい積し」「支障を及ぼす虞のある行為」です。自治体のページも、43条を引いたうえで「お願い」の形をとっています。罰則があることを理由に慌てる必要はありませんが、放っておいてよい根拠にもなりません。

沿道区域に指定されていると、義務になります

道路法44条には、もう一段強い仕組みがあります(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「道路法 第43条・第44条・第71条・第102条」/確認日 2026-10-13)。

  • 道路管理者は、沿道の土地・竹木・工作物が道路に損害や危険を及ぼすのを防ぐため、道路に接する区域を沿道区域に指定できます。幅は道路の片側20メートルまでです(1項)。
  • 指定され、対象として公示された竹木の管理者は、損害や危険を防ぐために必要な措置を講じなければなりません(3項)。
  • 特に必要があるときは、道路管理者が措置を命じることができます(4項)。命令で損失を受けた人には補償があります(5項)。

自分の土地が沿道区域かどうかは、道路管理者の公示を見ないと分かりません。気になるときは、前の道路を管理している役所(市道なら市区町村の道路管理の課、国道・県道ならその管理者)に聞いてください。

事故が起きたら、誰の責任になりますか

自治体の案内は、どれも「責任を問われる場合がある」という書き方です。

法律の枠組みは民法717条です。1項は工作物の設置または保存の瑕疵による損害の賠償責任を定め、2項がそれを「竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合」に準用しています(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「民法(明治二十九年法律第八十九号)第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)」/確認日 2026-09-29)。瑕疵があったかどうかは、条文には基準が書かれておらず、個別に判断されます。はみ出していれば必ず責任を負う、とも、負わない、とも言えません。占有者と所有者の切り分けを含めて、条文で分かることと分からないことは手入れをやめた庭木が倒れたら、誰の責任になるかにまとめています。

道路側から、行政が枝を切ることはありますか

ふだんの剪定を行政がすることはない、というのが上の自治体の案内です。そのうえで、条文には二つの入口があります。

どちらも、行政が切った場合に費用を持ち主の負担にする形になり得る規定です。実家が遠い、持ち主が亡くなって相続の手続きが進んでいない、という庭ほど、ここに近づきます。相続した庭の名義の確かめ方は相続した実家の庭に手を入れる前に、名義を確かめるにあります。

電線や電話線のそばを切るときは

電線のそばの枝に、先に刃物を入れない

鹿児島市は「電線や電話線がある場合は、感電等の危険性がありますので事前に九州電力又はNTTに連絡ください。」(出典:鹿児島市 建設局道路部道路管理課「道路上に張り出している樹木等の剪定・伐採について(お願い)」/確認日 2026-10-13)、船橋市は「電線や電話線がある場合は、感電等の危険が伴いますので、事前に東京電力パワーグリッドまたはNTT東日本にご連絡ください。」と案内しています(出典:千葉県船橋市 道路維持課「道路上に張り出している樹木の枝の剪定について」/確認日 2026-10-13)。連絡先の会社は地域で違います。

通信会社の側の考え方を書いた例として、NTT東日本 千葉事業部のページがあります(出典:NTT東日本 千葉事業部「電気通信設備保護のための立ち木伐採・剪定に関するご協力のお願い」/確認日 2026-10-13)。

  • 立ち木の伐採・剪定は「お客様で専門業者を手配頂きたく存じます。」
  • 同社が緊急の対処を要すると判断したときは伐採等の緊急措置をとることがあり、その費用は「民法717条「原因者負担の原則」に基づき、有償となります」
  • 作業後の木屑は持ち主が処分する

これは電話線などの通信設備についての案内で、電力会社の電線について同じ扱いだとは書かれていません。電線のほうは、地域の送配電会社に問い合わせて確かめてください。

自分で切るか、業者に頼むか

道路側に脚立を立てて切る作業は、庭の中の剪定とは条件が違います。自治体の案内は、作業時に「通行車両や歩行者の安全確保と伐採枝の落下防止やはしご等からの転落防止に十分ご注意ください。」(鹿児島市)と書いています(出典:鹿児島市 建設局道路部道路管理課「道路上に張り出している樹木等の剪定・伐採について(お願い)」/確認日 2026-10-13)。

業者に頼むほうがよい条件

  • 車道の上に張り出していて、通行を止めないと作業できない
  • 高さが脚立で届かない、または脚立を道路側に立てることになる
  • 電線・電話線・引込線が枝の中を通っている
  • 太い枝を落とすので、落ちる先を制御できない
  • 生垣が長く、刈り込みの量が多い(出た枝の量が自治体の収集の枠を超える)

自分で切った枝の出し方は市区町村で違います。長さや束ね方の決まりは剪定枝を何センチに切るかに並べています。木そのものをなくす場合は庭木の伐採費用、生垣をやめてフェンスにする場合は生垣の撤去とフェンスへの変更を読んでください。

道路にはみ出した木の剪定を頼むときに確認したいこと

  • 道路側の作業はどう安全を確保しますか。通行止めや誘導員が要る場合、その手配と費用は見積もりに入っていますか
  • 道路の使用について警察や道路管理者への手続きが要る作業ですか。要るなら、誰が申請しますか
  • 電線・電話線・引込線のそばの枝は、どう扱いますか。電力会社・通信会社への連絡は誰がしますか
  • どの高さ・どの線まで切りますか(車道側・歩道側・カーブミラーや標識のまわり)
  • 次に張り出すまでの目安を考えて、どこまで切り戻しますか
  • 切った枝はどこへ運びますか。処分の費用は見積もりに入っていますか
  • 庭の内側の剪定も一緒に頼むと、どこまでが一回の作業になりますか

確認できていないこと

  • 自分の家の前の道路が沿道区域に指定されているかどうか(道路管理者の公示を見ないと分かりません)
  • 電力会社の電線に枝が触れている場合の費用の扱い(送配電会社の公式な案内を確認できていません)
  • 道路側の作業にどの手続きが要るか(作業のやり方と場所で変わります。工事で道路を使うときの手数料は役所に払う手数料にあります)

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よくある質問

道路にはみ出した庭木を、市役所が切ってくれることはありますか
原則としてありません。鹿児島市は「私有地に生えている樹木などは、土地所有者の方に所有権があるため、緊急時を除き、市で剪定・伐採はできません。」、船橋市は「市で勝手に伐採することはできません。」と案内しています。切るのは木の持ち主です。
どの高さまで切ればよいですか
自治体は「車道の上空4.5メートル、歩道の上空2.5メートル」を示しています(鹿児島市・熊本市・船橋市)。鹿児島市はこれを「建築限界を一つの目安として」と書いていて、私有地の木の高さを直接決めた条文ではありません。文京区は、ぶつからない高さでも強風や積雪のときに道路へ枝が落ちるおそれがあると注意しています。
はみ出した枝が原因で事故が起きたら、誰の責任になりますか
自治体の案内は、所有者が責任を問われる場合があると書いています。横浜市青葉区は、歩行者が枝を避けようと車道に出て事故に遭う例を挙げています。法律の枠組みは民法717条2項(竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合)ですが、瑕疵があったかどうかは個別に判断されるので、必ず責任を負うとも負わないとも言えません。
枝がはみ出しているだけで、道路法違反として罰せられますか
条文からはそう言い切れません。道路法43条2号は「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為」を禁じ、違反には102条の罰則がありますが、張り出した枝がこれに当たると条文に書かれているわけではありません。自治体の案内も「お願い」の形をとっています。
電線のそばの枝は、自分で切ってよいですか
切る前に電力会社・通信会社に連絡してください。鹿児島市と船橋市は、電線や電話線がある場合は感電等の危険があるので事前に連絡するよう案内しています。NTT東日本 千葉事業部は、立ち木の伐採・剪定は持ち主が専門業者を手配するよう求め、同社が緊急に切った場合の費用は有償としています。

確認した情報源

制度や料金は地域と時期で変わります。掲載しているのは確認日時点の内容です。実際の手続きは、 該当する自治体・事業者の最新の案内で確認してください。

  1. 鹿児島市 建設局道路部道路管理課「道路上に張り出している樹木等の剪定・伐採について(お願い)」

    「私有地に生えている樹木などは、土地所有者の方に所有権があるため、緊急時を除き、市で剪定・伐採はできません。」と記載。「道路法第30条及び道路構造令第12条では、道路上の安全な通行を確保するため、車道の上空4.5メートル、車道の路端の上空3.8メートル、歩道の上空2.5メートルの範囲に通行の障害となる物を置いてはならないとしています。」とし、「樹木などの所有者は、建築限界を一つの目安として」定期的に確認するよう求めている。作業時の注意として「電線や電話線がある場合は、感電等の危険性がありますので事前に九州電力又はNTTに連絡ください。」と書き、事故の場合について「被害者から土地所有者へ損害賠償を請求されることもあります。」としている。

    適用範囲:鹿児島市(市道)。ページに更新日の表示は見当たらない。当サイトは取得日(2026-10-13)で示す。/確認日 2026-10-13

    注意:「建築限界を一つの目安として」と書いているとおり、4.5メートル・2.5メートルは市が所有者に示している目安。道路構造令は道路を造るときの技術的基準で、私有地の木の高さを直接定めた条文ではない。/連絡先の電力会社名(九州電力)は鹿児島市の案内。他の地域では送配電会社が違う。

  2. 熊本市「道路上に張り出している樹木等の管理について」

    「私有地から道路上へ越境している樹木等は土地の所有者に所有権があるため、原則として市で伐採や剪定ができません。また、所有地の樹木等が原因で道路上の事故が発生した場合は、所有者の方の責任が問われる場合があります。」と記載。建築限界について「道路法第30条及び道路構造令第12条では、道路上の安全な通行を確保するため、車道の上空4.5メートル、歩道の上空2.5メートルの範囲に通行の障害となる物をおいてはならないと規定されています。」と書く。関係法令として民法233条を2023年改正後の形(3項の催告・所有者不明の場合を含む)で引いている。

    適用範囲:熊本市(市道)。ページID 17386。ページに更新日の表示は見当たらない。/確認日 2026-10-13

    注意:「責任が問われる場合があります」という可能性の表現で、責任の有無を決めたものではない。

  3. 千葉県船橋市 道路維持課「道路上に張り出している樹木の枝の剪定について」

    「ご自宅など私有地から道路に張り出している樹木の枝、生垣や草などは土地所有者に所有権がありますので、市で勝手に伐採することはできません。」と記載。張り出しの影響として、通行の支障・視界の遮りのほか「繁茂や落枝落葉等により、側溝を覆ってしまい道路排水の障害を引き起こし、道路冠水につながったり」すると書く。作業時の注意として「電線や電話線がある場合は、感電等の危険が伴いますので、事前に東京電力パワーグリッドまたはNTT東日本にご連絡ください。」とする。建築限界について「高さについて車道の場合は「4.5m」、歩道の場合は、「2.5m」の範囲に通行の障害になる物(樹木・看板など)は置いてはならないと規定されています。」と書く。更新日 令和8(2026)年6月29日。

    適用範囲:千葉県船橋市(市道など)。/確認日 2026-10-13

    注意:民法233条の引用は改正前の文言。連絡先の会社名は船橋市の地域のもの。

  4. 東京都文京区 土木部管理課道路監察係「道路にはみ出した樹木の剪定等管理をお願いします」

    「樹木がはみ出すことにより、カーブミラーや標識、街路灯などを覆い、機能を阻害する場合があります。」「道路上にはみ出した生垣や庭木等が原因で事故が発生した場合、樹木等の所有者(管理者)が責任を問われることがあります。」と記載し、「歩行者や車両にぶつからない高さでも、強風や積雪時に道路への落枝の恐れなどもあります。」と注意している。関係法令として道路法43条と民法233条・717条を抜粋している。

    適用範囲:東京都文京区(区道)。/確認日 2026-10-13

    注意:民法233条の抜粋は2023年4月1日施行の改正前の条文(1項・2項)だけで、改正後の3項(自ら切り取れる場合)は載っていない。条文は e-Gov で確かめる。

  5. 横浜市青葉区 青葉土木事務所「所有地の樹木等の適正管理をお願いします。」

    「所有地から道路に越境している樹木や生垣等は、所有者が剪定してください。」と記載。被害の例として「越境した樹木や生垣等に歩行者や車両が接触したり、歩行者が避けようと車道に出て事故に遭ってしまう等の被害が発生した場合、(被害者から)所有者が損害賠償請求等の責任を問われる場合があります。」と書いている。参考法令として道路法43条・民法717条・民法233条を挙げる。最終更新日 2025年5月27日。

    適用範囲:横浜市青葉区(区内の市道)。/確認日 2026-10-13

    注意:「責任を問われる場合があります」は可能性の表現。

  6. デジタル庁(e-Gov法令検索)「道路法 第43条・第44条・第71条・第102条」

    第43条は「何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。」とし、二号に「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。」を挙げる。第44条1項は、道路管理者が「道路の沿道の土地、竹木又は工作物が道路の構造に及ぼすべき損害を予防し、又は道路の交通に及ぼすべき危険を防止するため」、道路に接続する区域を条例等で定める基準に従い沿道区域として指定できるとし、ただし書で「道路の各一側について幅二十メートルを超える区域を沿道区域として指定することはできない。」とする。同条3項は、沿道区域内の土地・竹木・工作物(公示されたものに限る)の管理者に、損害又は危険を防止するため必要な措置を講じる義務を課し、4項は道路管理者が「特に必要があると認める場合」に措置を命ずることができるとし、5項は命令により損失を受けた者への補償を定める。第71条3項は、第44条4項等により措置を命じようとする場合に「過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないとき」は、道路管理者が「その者の負担において」自ら措置を行うことができ、あらかじめ公告しなければならないとする。第102条は三号で第43条違反を挙げ「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」とする。

    適用範囲:全国。2026-10-13に e-Gov法令データAPI(法令ID 327AC1000000180、law_revision_id 327AC1000000180_20260723_508AC0000000065)で取得して照合。/確認日 2026-10-13

    注意:★第43条二号は「みだりに」「たい積し」「支障を及ぼす虞のある行為」という文言で、私有地から張り出した枝がこれに当たると条文が明記しているわけではない。自治体の案内が「関係法令」として挙げているだけで、枝が張り出せば直ちに違反・処罰と書くことはできない。/★第44条の義務と命令は、道路管理者が沿道区域を指定し、対象の竹木を公示した場合に限られる。自分の土地が沿道区域かどうかは道路管理者の公示を見ないと分からない。/第71条3項は第44条4項等で措置を命じようとする場面の規定で、所有者不明の空き家の木を自治体が切る一般的な根拠として書けない。

  7. デジタル庁(e-Gov法令検索)「民法(明治二十九年法律第八十九号)第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)」

    1項は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたとき、その工作物の占有者が賠償責任を負い、ただし占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは所有者が賠償しなければならないと定める。2項は1項を「竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合」に準用する。3項は他に責任を負う者があるときの求償権を定める。

    適用範囲:全国。2026-09-29時点で施行済みの版で確認。/確認日 2026-09-29

    注意:条文が責任の要件としているのは「栽植又は支持の瑕疵」であって、「手入れをやめたこと」が直ちに瑕疵に当たるとは書かれていない。瑕疵の有無・因果関係・損害額はいずれも個別の事実認定で、この条文だけを根拠に「倒木すれば必ず賠償責任を負う」とは書けない。判例・裁判例は今回一件も確認していない。台風など自然力が加わった場合の扱いも条文にない。占有者と所有者が別人のときに誰が占有者になるかも条文からは判断できない。

  8. デジタル庁(e-Gov法令検索)「民法(明治二十九年法律第八十九号)第233条・第209条」

    233条1項は「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」と定め、3項が自ら切り取れる3つの場合(催告しても相当の期間内に切除しないとき/所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき/急迫の事情があるとき)を挙げる。4項は根について「切り取ることができる」とだけ定める。209条1項三号は枝の切取りを隣地使用の目的に挙げ、3項が事前通知を求める。

    適用範囲:全国。2026-09-29に取得した現行版(法令ID 129AC0000000089)。/確認日 2026-09-29

    注意:条文が読めるだけの資料で、条文に書いていないことは分からない。催告の方法(書面か口頭か)、「相当の期間」の日数、「急迫の事情」の内容、切った枝の所有権と処分方法、切取り費用の最終的な負担者は、いずれも233条の文言にない。e-Govの人が読めるURLはJavaScriptで描画されるため、条文本文の確認には同じ法令IDの法令データを取得する必要がある。

  9. NTT東日本 千葉事業部「電気通信設備保護のための立ち木伐採・剪定に関するご協力のお願い」

    「立ち木の伐採もしくは剪定等は、お客様で専門業者を手配頂きたく存じます。」と記載。NTT東日本が緊急の対処を要すると判断した場合に伐採等の緊急措置をとることがあり、「当該作業※に要した費用につきましては、民法717条「原因者負担の原則」に基づき、有償となります」とし、注記で「弊社は専門業者ではないため、伐採等の作業における生育・美観を保証するものではありません。」「作業後の木屑等はお客様にて廃棄処分して頂きます。」と書いている。

    適用範囲:NTT東日本 千葉事業部のページ(電話線などの電気通信設備)。更新日の表示は見当たらない。船橋市のページからリンクされている。/確認日 2026-10-13

    注意:電気通信設備(電話線など)についての通信会社の案内で、電力会社の電線の扱いを示したものではない。電線の扱いは送配電会社ごとに確かめる。「民法717条の原因者負担」は同社の説明であって、裁判所の判断ではない。